2-54 礼!
ソラがなんだか キョロキョロしだして落ち着きがない
「ソラ?」
「母さんの声がする」
「呼んでいるなら 行きな 今度は自分の全てを大事にしろ」
「うん 約束す…します ありがとうございました また 会いたいです」
ソラが頭が膝につきそうな 深い大きな礼をしてから顏をあげて 3人をしっかりと見た。
この顏を覚えておこうとレオナは思った。
それなのに 今のソラの顔はいつものソラの顔となんだか違ってソラだけど初めて見る男の子のようだった
ソラがナースステーションの方へ駆け寄っていく ナースステーションの向うには病室のドアが並ぶ廊下が見える あのどこかに ソラが戻るべき身体があるのだろう
レオナたちは目でソラを追う
その時 ナースステーションで 何事かを看護師さんと話していたショートカットの女の人がだれかに呼ばれたように ピクリと肩を動かして振り返る
「-------!」
眼を大きく見開いて 小さい声で何かを言った その瞬間に ソラの姿が消えた。
ナースコールが響き ナースステーションが騒がしくなる
「理央 帰るぞ」
「え?」
「ソラは 無事に戻ったよ」
「そっか」
「ありがと ユキ レオナちゃん
あ ちょうど エレベーターが来た!!」
理央に押されるようにして ちょうどついたエレベーターに 白衣の人たちと入れ替わりに乗り込む
レオナ ユキ 理央 それぞれに思う事があるのだろう 誰も口を開かない。
エレベーターも途中で止まることも無く 一階フロアに着き ドアが開く
病院のエントランスのベンチに3人は並んで座る
しばらく 黙ったままでいたが口火を切っるのは やはり理央だ
「俺には 分からなかったけど ソラ帰ったんだな?」
「ああ 多分な」
「とりあえず 今はソラ視えません」
「あっけなかったなあ」
「うん」
「身体軽くなった気がしますか?」
「ああ 言われてみれば? 暑くなった?」
「理央さん ガーデンでは トキかソラかどっちかが ぶら下がってましたからね」
「俺 モテるんだよな」」
「頼むから もう 何も拾ってくるな 連れてくるな…」
「幽霊も生霊も突然現れて せっかくお友達になれたかと思ったら 突然いなくなるんですね」
「そうだなあ 突然いなくなるんだなあ」
ユキが言いながら 顏を覆って 身体を二つに折った
「師匠?」
「ユキ 一人になりたい?」
「レオナちゃん ユキ 一人でしみじみしたいみたいだから 俺の事送ってくれる?
ユキ また明日
レオナちゃん 行こう!」
よいしょっと 掛け声をかけて理央がレオナを引っ張り上げる
その ふざけた様子にレオナもつい 立ちあがる
ユキの事は気になるが 一人になりたいときもある
理央につられるように 出口へ向かう 自動ドアが開いて 外で出る
「あ!忘れ物 ちょっと待ってて」
理央が呟いてその開いたドアが閉まる寸前に病院へ戻る
レオナは 真夏の白い日差しの下にポツンと残される
トキも ソラも 本当に突然行ってしまった.
ソラなんて 走って行った 薄情者め!
あれ?本当にあの二人っていたのだろうか? 存在していた証拠は何処にもない。
髪の毛一筋残していない
もしかして すべて夢だったのでは? だとしたらどこからが夢なのか?っと不安になった時に
「ごめん ごめん お待たせ」
後ろから 理央の声がした。
とりあえず今は夢の中ではないのだろう
ソラくん良かったねと思われる方 評価☆おねがいします