8.明日が楽しみなレオナ
「明日 お昼過ぎ 図書室 … えっと あれ? 名前 井上?旭?ちがう もっとこう…山木? 結城? そうそう それだ!」
自室でカレンダーに明日の予定を書き込もうとして レオナは既に相手の名前を忘れている事に気が付いた
眼で見たものをしっかり覚えられるレオナは その分なのか 耳で聞いたものの理解や記憶がすこぶる悪い
それでも 同級生の名前を順番に思い出して ちょっと違う気がすると思いながら 結城さん と書き込んだ
「今日のスクールはどうだったの?」
レオナがいつもよりも楽しそうに見えたのか、母親が聞いた
「深淵の正体が分かりそうなの!」
っと答えたら 母親は何というだろうか?
”深淵”は自分の正体が暴かれると知ったら どんな反応をするだろうか?
レオナは今はまだ隠しておいた方がいいような気がした。 それに 深淵を知らない母親にそれを説明するのは この問題が解決してからでもいいだろう そうレオナは結論付けた
「ガーデンの図書室で 綺麗な画集を見つけたの 明日も見に行こうと思うけれどいいかな?」
「あら そんなに気に入った画集があるなら買ってあげようか?」
あまり 物事に執着せず 欲しいものを言う事がないレオナに母親が提案した。
レオナが執着するのは、興味を持つのは 家族と”深淵”だけだ。 アイツを避けて、家族と”普通”の生活が出来れば他に欲しいものは無いのだ
「図書室で見る方が良さそうだから 図書館で見るよ」
レオナは慌てて辞退する 明日本を買いに書店へ行こうっと言われたら図書室へ行けなくなる 明日の図書室はレオナの人生の分岐点になるかもしれない きわめて重要な日なのだ。
「僕も 本欲しいなあ」
弟のレオンが言いだして 話題はレオンの欲しい本の話に移って行った。
レオナは 深淵について調べたことがある
トライフォビア という ポツポツ恐怖症についての本を読んだ。が深淵とは違う 深淵に比べたら大分かわいい
他にも ダム穴恐怖症のようなものもピンとこない むしろ水が滝の様に流れ込む様子は綺麗だと思う
一番 ピンとくるのは あっちゃんの書いたニーチェさんの言葉だ
ニーチェさんにあって話をしたら解明するのかもしれない ニーチェさんの見た深淵はどんな深淵だったのだろう?
明日、結城さん(仮)に会えば解明すると期待して レオナはベッドに潜り込む
明日がこんなに楽しみなんてめったにない事だと思いながら…
とりあえずストーリー追いたいって方 26番目の「レオナママ」へ飛ぶことも可能です。。。