2-52 個人情報の保護
ソラをどう”助けようか”。
ユキと理央はソラにタスケテと言われる前から考えていた。
生霊は 生霊だと自覚して身体と対面すれば身体に帰れるのではないか
と理央とユキは考えているようだ
「前に 雑誌でそんな体験談を見たような気がする」
理央が自信満々な口調で なんの根拠もないような事を言う。
その雑誌って何の雑誌なんだろう?
この件については 実証できる過去事例などあるとは思えないのだが?
兎に角、当事者であるソラ自身が ”自分と対峙すれば何かが起きる”と感じているから 僕を探してほしいと言うのだ。
やってみるしかない。
ソラの身体は ローズガーデンの病院棟にあると想定出来た。
だが、その中のどこにあるのか?どうやって探して対峙させたらいいのか?
というのが 次の超えるべき壁だ
ガーデンの入院病室はそんなに多くはない この中のどこかにソラが居る
とはいえ 名前が分からない人の病室に乗り込めるほどセキュリティが甘いとは思えない
ソラの 人間としての名前が知りたいと思ったが 今時は個人情報保護とやらで 新聞社に聞いても教えてはくれない
もちろん ネットで調べて見たが 1年も前の事故で ”命に別状はない”小学生の情報は得られなかった。
「たぶん 呼ばれれば思い出せると思う」
と ソラは言うが、あてずっぽうに呼んだ名前が当たることは難しそうだ
そして もし名前が分かったとしても やはり個人情報保護の壁が立ちふさがる。
病室の入口には名前は出ていない だから病室がどこか分からない
仮に名前が出ていたとしてもソラの名前が分からないのだからやはり 病室へ入れない
堂々巡りだ 解決の糸口がつかめない。
「ナースセンターで レオナちゃんが”ゴニョゴニョ君のお見舞いに来たんですけど” って言ったら 向うから あら ○○(まるまる)君の彼女 とか言ってくれないかな?」
理央投げやりに言う
「ちょっとした骨折くらいならともかく 1年意識不明の小学生の見舞いに今頃来るカノジョってどんなんですか!」
すかさず ソラが突っ込んだ
もちろん レオナがソラのモノマネで理央に伝えた。
ユキがんん?っという目で見た気がしたが『師匠よりは似てると思います!』っと心の中で返しておいた
行き詰る中
「とりあえず 病院へ乗り込んでみようか? 何か起こるかもしれないし」
そんな 行き当たりばったり、風任せ、なるようになるさ的な発言をしたのは
意外な事にユキだった。
「やるか やらないかはソラに任せる やってみる気になったら言ってくれ」
行き当たりばったりの計画実行の決定権は本人であるソラにあるのだ
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