2-51 裏付け
図書室では レオナが去年1年分、といっても 保管期間が1年という事なので去年の8月から5か月分の四葉新聞を出してもらっていた。
地方紙のバックナンバーはあまり需要がないのか 一か月分づつ無造作に箱に入れられて保管されている。
5か月分で足りるのだろうか?とレオナは心配しながら 新聞の入った箱をレオナ達の指定席に運ぶ。
最後のひと箱を運んでいる時に ユキと理央が図書室に入って来て 理央がレオナから箱を引き取って席に運んだ
「ありがと! ちょっとソラを怒っちゃったからソラを慰めに行ってくれるかな?ソラはテラスにいるから 頼むね」
レオナはユキに言われるがままテラスに向かう。
追い出されたことは分かったから ソラを慰めるようにもむしろ ソラに慰めて欲しいと思いながら…
「8月分からあってよかったじゃん」
ユキと理央は頷きあって 8月からの新聞に目を通し始めた。
「あった! 多分 この事件だ」
ユキが理央を呼び一緒にその小さな記事を読む
【9月2日夜10時 二葉区のマンションの3階ベランダから小学生が落ちる事故が発生
救急車が出動
小学生は自宅ベランダから 何かをつかもうと身を乗り出し落下
幸い 真下の来客用駐車場の車のボンネットに落ちた為 命に別状はなかった】
命に別状はないその小学生がソラだろう という事で理央とも意見が一致した
救急車が搬送される大きな病院で二葉区にあるのはこのローズガーデン病院
なにより ソラ自身がここを離れたくないと思っているのだからソラはここに入院しているのだろう
おそらく”約一年意識が無い状態の小学生男子”が病院棟に居るはずだ
カウンターに 新聞を返し 事故の記事のコピーを貰ってお礼を言う。
二人がテラスへ行くと だらんっと油断したレオナがテーブルに肘をつき 同じように肘をついたソラと向かい合って話をしていた。
「図書室で レオナちゃんを脅かしたソラの気持ちがわかるなあ 脅かしてみる?」
油断しきった二人を見てユキが悪戯心を起こした。
突然 後ろから理央に
「れっおな ちゃん!」
と脅かされたレオナと後ろからふわりとユキに包まれたソラは 声も出せないほど驚いた。




