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2-50 ソラと深淵

「ソラがお前に抱き着いてるぞ」

ユキに言われて 理央がソラの身体に手を突っ込んみながら抱きしめた  


「うわ 自分を抱きしめている 見てらんない」


ユキが珍しく意地悪を言う

そして カップを持ち上げて遠くの空を見ながら誰にともなく言う


「生霊の”執着”は 親の愛だったか 凄いな」



「レオナちゃん ちょっと頼みたいんだけど?」

「はい 師匠!」

理央とソラを見ていたレオナがはっと我に返って返事をする


「図書室に去年の四つ葉新聞があるか聞いて あったら出しておいても貰えるかな?」

「はい!」


ユキからの依頼が嬉しくて レオナは張り切って図書室に向かう


「頼むね!僕もすぐに行くから」

レオナの後ろ姿に声をかけ、レオナには聞かせたくないからなあ っと小さく呟く

そして 理央とソラの方に身体を向けた。


「ソラ 聞きたい事があるんだけどいいかな?」

「はい」

固い声でソラが返事をする

理央に分かるように ユキがメモを取りながらソラに質問する


「最後の記憶は思い出せた?」

「自分で 飛び降りました」


これが言いたくなくて タスケテも言いだせなかった 重い言葉

「自殺」


ユキはなぜか最初から分かっていたようだったけれど ソラが直接 言ったのは初めてだ。

これで ソラのここの心地よい時間はお終いだ。

それでも その時間と引き換えにしてでも 戻ろうと決めたのだろう。

ソラは両手を力を込めて握っている。


時が止まったように感じた。


「場所は覚えている?」

「自分の家の有るマンション 住所とかは分からない でも ここから遠くないと思う なんとなくだけど…」


「季節は?」

「たぶん 夏休みの間か 終わるころかな?」


「他に覚えていること 思い出したことは?」

「ボンって 身体が跳ねて 悲鳴が聞こえて あとは ずっと僕を呼ぶ声が聞こえた」



いつもなら「刑事ドラマ見てるみたい」くらいの冷やかしはする理央が真面目にメモを見る おそらく しばらく前から考えていた質問なのだろう


「まあ 俺だったら深淵に呼ばれてフラフラと屋上から落ちるってことはあるだろうけど ソラは深淵に飛び込んだんだな」


「バディに呼ばれた。。。バディは僕が一人の時もいつもそばにいてくれて バディなりに僕に一番いい方法を考えてくれたんだ」


「一緒に居る間に ソラはどんな言葉でバディを育てたんだ?」


「え?」

ソラが言葉に詰まる


「もちろん もともとの性格もあるだろうけど バディと人は育てあうんだよ。

 ソラが 死にたい 消えたいって言葉を沢山かけたから ソラのバディはソラの期待に応えようとして ソラを飲み込む深淵に育ってしまったんだろうね 一生懸命だったんだよね」


ユキはの声は静かな声で言い ソラの深淵に、初めて優しい目を向けた。

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