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2-47 理央はけっこう突っ込みます

「ユキ! 相手は子供なんでしょ? 落ち着いてよ」



「ソラ おいで~ ユキはちょっとそこでクールダウンね レオナちゃん 俺ちょっとソラと話するけど 視えないから もし ソラが逃げたら教えて」


理央とソラは書架の向うへ消え 指定席にはユキとレオナが残された。



書架の陰に置かれた小さな椅子に座り 右手に白石 左手に黒石を乗せる

そして 囁く


「ソラ この前と一緒ね 俺の質問に答えて YESなら白 NOなら黒な」



「始めていいかな?」

YESの白石が揺れた


「ソラ 今日は楽しいですか?」

黒 NO


「寂しいね」

白 YES


「辛いね」

時間をおいてから 白 YES


「ト キを送ったこと後悔している?」

黒 NO


「送って良かったね」

白 YES


「トキ 家族に会えたよね?」

白 YES


理央は 揺れた白石を軽く握って言う

「大事なトキの事を思って 辛くなることが分かっていても送り出したソラが俺は大好きだよ 偉いと思う 頑張ったね」


それから また 碁石を乗せた両手を開いた

 

「ソラ 君は俺たちと同じように この世に居たことがありますか?」

YES


「ソラ 君は深淵の中から呼ばれたことがありますか?」

YES


「ソラ その声に答えましたか?」

YES


「ソラ 今 それを後悔していますか?」

YES YES


「ソラ こちらに戻りたいと思っていますか?」

YES YES


少し 考えるようにして また質問する


「もし 戻れたら 深淵をちゃんと躾けられますか?」

YES YES YES


「命を大事にすると 約束できますか?」

YES YES YES


「ソラ自身とソラの周りの人を幸せにする努力をしますか?」

少し時間をおいて  YES 


「よし ソラの望みを叶えられるか 何年かかるか分からないけどソラ それまで俺のそばにいればいいじゃん?」

石は動かなかった


「大丈夫 俺の事好きだろ?」

YES 


「そらが居たいだけ俺のそばにいればいい」

YES


ヨシっと 理央は二つの石をシャツの胸ポケットにしまう

ソラを抱きしめられるように 手のひらを上にして 膝につけて


「おいで ソラ」


理央にはソラを見る事も感じる事も ソラの声を聞くことも出来ない。

だから ソラを抱きしめた理央は ただ 信じただけだろう

ソラがここに居ることを ソラが理央に抱きしめてもらいたいと思っている事を


「ソラ トキの事”先に何とかして”って言ったんだって? 次はソラの番じゃん?

 よく考えて よく思い出して そしてユキと俺に教えて ”何とか”してやるから

 ソラの望みをよく整理して話をしような」


残されたユキとレオナは 最初は自分たちの課題をしていたが、少しすると 最小限にまで潜めた声で会話を交わし始めた


「理央さん どうするんでしょうか?」

「ソラと 意思の疎通を図れる方法を考え出したから やっているんだと思う」

「意思の疎通?」

「大丈夫だよ」


ふーん?っと思いながら レオナは”あれ?トキは?”と思って探そうとして もういないのだと思い出す。


「今 トキを探しちゃいました」


言いながら 泣きそうになる 

ユキがちょっとだけレオナを頭を撫でて

 

「また 会えるといいね」


といって 輪廻転生 と自分の広げていたノートの片隅に書いた


「生まれ変わって また 会えるってことですか?」

「しばらくは 家族と過ごすかもしれないけどね」

「ゆっくりしてきてほしいような 早く会いたいような…」


「お待たせ!」

「キャー!!!」


ソラが突然 レオナの前に現れたので レオナが驚いて悲鳴を上げた


「し~」

「静かに」

ユキと理央に言われ 他の利用者からも非難の視線が注がれた


「すいません」

レオナはペコペコと謝り その視線から逃げるように 図書室から退出した。




「あんなに驚くとは思わなかったから すいません」


あまり 反省した風でもなく謝るソラだが それがいつものソラに戻っているようでレオナは安堵した


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