2-44 トキの”やること” TO DO リスト
ユキと理央が唇に人差し指をあてて 「し~」っと言いながら レオナ達の席の方に来た。
久しぶりに大人の目になったトキが 教えるように言う
「前にも言ったでしょ?持ってきた”やること”を全部やって出口を掘り出すのよ」
「トキ 前にも思ったんだけどさ”やること”って何?ほら 病気を持ってきて死ぬっとかって生まれて死ぬだけで 何もできないよ?」
「そうよソラ 最初から掘り出すものが少なくて 寿命の短い人もいるのよ。それが運命なら たとえ死ぬだけの一生でも出口は見える」
トキがマルを抱きしめた
「私とマルは ちょっと特殊だけど… こうして抱きしめるとマルの中に何がまだ残っているのか なんとなくわかるの。
私が”やること”は 大きな事は無いみたい。沢山笑う事 感情を動かす事 知識を得る事 感謝すること それから 幸せにー」
「だから だからマルに会ってからトキは 笑ったり怒ったりするんだね
トキの幸せって 家族に会う以外は? なんだろう?」
ソラが 天井を見上げながら独り言のように言ったそれを トキは聞き逃さなかった
「こうやって ソラに本を読んでもらったり 一緒に手をつないだりする事よ りおちゃんの膝で皆の話を聞いたり ユキさんやレオナちゃんとお話しすることもとっても幸せよ」
トキが子供に戻って それぞれの顔を見ながらニッコリと笑った
***
それから数日 図書室へ通い トキはソラに本を読んでもらい 学生たちは本分である学問に取り組んだ。
いつものカフェ閉店の鐘が鳴り 図書室の外にでる
暑いなあ 眩しいなあっと 外の空気を感じた時に
「もうすぐ マルの中の私の”やること”が終わるの そうしたら お別れね」
トキがそう告げた
ユキと理央が唇に人差し指をあてて 「し~」っと言いながら レオナ達の席の方に来た。
久しぶりに大人の目になったトキが 教えるように言う
「前にも言ったでしょ?持ってきた”やること”を全部やって出口を掘り出すのよ」
「トキ 前にも思ったんだけどさ”やること”って何?ほら 病気を持ってきて死ぬっとかって生まれて死ぬだけじゃん?」
「そうよソラ 最初から掘り出すものが少なくて 寿命の短い人もいるのよ。それが運命なら 出口はあるのよ」
トキがマルを抱きしめた
「私とマルは ちょっと特殊だけど… こうして抱きしめるとマルの中に何がまだ残っているのか なんとなくわかるの。
私が”やること”は 大きな事は無いみたい。沢山笑う事 感情を動かす事 知識を得る事 感謝すること 幸せになること、今 それを掘り出している所」
ああ そうか だからマルに会ってから
トキは 笑ったり怒ったりするのだ そして 幸せになりたい と願うのだ
「トキの幸せって 家族に会う以外は? なんだろう?」
ソラが 天井を見上げながらつぶやいたのを トキは聞き逃さなかった
「こうやって ソラに本を読んでもらったり 一緒に手をつないだりする事よ りおちゃんの膝で皆の話を聞いたり ユキさんやレオナちゃんとお話しすることもとっても幸せよ」
トキが子供に戻って それぞれの顔を見ながらニッコリと笑った
***
それから数日 図書室へ通い トキはソラに本を読んでもらい 学生たちは本分である学問に取り組んだ。
いつものカフェ閉店の鐘が鳴り 図書室の外にでる
もわっとする熱気に暑いなあ 眩しいなあっと外の空気を感じた時に
「もうすぐ マルの中の私の”やること”が終わるの そうしたら お別れね」
トキがそう告げた
蝉しぐれが急に遠くなった。
トキは家族に会う事を何十年も望んでいたのだ
その時が近づいたのを喜ばなくてはいけないのに 嬉しい事なのに 今は泣くところじゃないのに 涙なんて出るはずないのに …… レオナは泣き出した
「うわあ おねーさん ここ人目あるから 三角関係だと思われちゃうよ」
自分も 泣きそうな顔なのに揶揄い口調のソラの言葉に 一行はテラスに場所を移し、ユキがレオナの頭を撫でている。
TO DO リスト 大事です




