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2-43 図書室にて

今日は 全員が図書室に居る。


レオナは久しぶりに指定席に座り その横にトキがその向うにソラが座っている

最近 ソラは以前にもましてトキの傍らを離れない


隣の机では 理央とユキが珍しく ノートと参考書を開いている所を見ると宿題でもやっているのだろうか?


二人とも高校生だろうに”珍しく”でいいのだろうか



レオナの前には 「バラの手入れ(夏編)」と「ギリシャ神話」それから数冊の「青い鳥」


”セイレーン”の話を聞いていたトキが興味を持ち レオナにどんな話なのか教えて欲しいと言い ギリシャ神話の本を探してきたレオナに読んで欲しいと言ったのだ。


レオナが図書室は静かにするのがルールだと教えるとトキは納得し、ソラが 自分の声は人には聞こえないからとトキの為に読んでいる



「深淵の底に居るのがセイレーンなのかはわからないけれど 深淵は持ち主の希望に沿いたいと思うから 優秀な深淵なら歌うかもしれないわね」

セイレーンの話を聞き終わったトキが ビックリするような独り言を言った。


最近はほぼ外見相応なトキだが 時々 サラリと怖い事を言う


「歌う深淵に引き込まれたらどうなるの?」

レオナはドキドキしながら ささやき声でトキに聞く


「歌う深淵に出口があればいいけれど 無ければ永遠に歩き続けるんでしょうね?」

当然の事のように言われて やはり深淵は怖いのだとレオナは再認識する。


それを見て トキが


「私とマルが仲良しのように 人と深淵は仲良しなのよ 同じモノだから…。

 深淵は人の望みを叶えたいの。

でも 深淵は人と同じ経験、同じ知識しかもっていない。

出口が無いのも分らないくらい幼い深淵が、

人の望みのままに人を迎え入れたら、持ち主を飲み込んだまま彷徨うことになる。

それがレオナちゃんが視る 悪質な深淵。かな? 

駅で理央ちゃんを呼んだのはそんな深淵、 

寂しかったり退屈だったりするとそんな悪戯をすることもあるのね」


いやいやいやいや… 

寂しいとか 退屈とか 悪戯とかで 他人を永遠に彷徨わせる仲間にしようとか 事故に遇わせようとか 断じて 断じてやめていただきたい。


レオナが顔色を悪くしたのをみて トキが笑って「冗談よ」と言ったけれど 真実なのだろうと


「出口が無いトンネルとか 底が無くて落ち続ける穴とか絶対に嫌!」


口に出すつもりは無かったのに 思いのほか大き目の声が出てしまい ユキと理央が唇に人差し指をあてて

 「し~」

と言いながら レオナ達の席の方に来た。

ブクマ 評価 頂けますと とっても嬉しいです   


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