2-35 トキ発表する
「クッキー食べない?」
突然の理央の提案に 仲間外れに飽きたように 理央の髪を乱して遊んでいるソラを見ながらユキが同意した。
レオナが飲み物を買いに カフェに入ると流石に涼しい。
霊風も科学の力には勝てないかあっとレオナが呟きながらテラスに戻ると テーブルの上には封を開けたクッキーが乗せられていた
「ソラとトキもどうぞ って気持ちだけかな?」
理央の言葉に二人はクッキーに手を伸ばしてみるが やはり通り抜けてしまって触れる事は出来ない。
霊たち(仮)が 触れられたり 触れられなかったりする線引きは何なのだろうか?
クッキーは食べられそうもないけれど それでも二人は理央にお礼を言う。
トキが来てから ソラが素直になったんじゃないかな?レオナがそう思いながらトキを見ると
トキが珍しくソワソワしている。
「トキ 何か言いたいの?」
ユキが気がついて声をかける。
ユキの言葉に トキが、いすの上に立ちあがる。
立ちあがったまま 何と言おうか考えているように口ごもるトキの言葉をレオナとユキは待つ。
理央は 首を傾げたままユキの様子を伺い その背中に顏を押し付けるようにしているソラは前もって何か聞いているようだ。
「お願いします トキを家族の所に送ってください。」
トキが頭を下げ、その状況をユキが理央に伝えた。
「じゃあ まずは深淵を捕まえなくちゃね」
優しく言うユキの言葉に トキが顏を上げた。 ユキの言葉を聞いた理央がクッキーを咀嚼しながら
「トキ 決心したんだね 俺も協力するぞ!」
っと 園芸ポットの遠眼鏡?でトキの方を見ながら言った。
いつだって トキのいない方を見てしまう理央が 園芸ポットを覗いている時は キチンと方向があっているから不思議だ。
「理央さん それ使うとトキが見えるんですか? 今 トキの方バッチリみてますけど?」
「え? 俺っていつもは明後日の方見てるの?」
このセリフを聞く限り 方向こそ合っているが 視えているわけでは無いらしい。
まあ…園芸ポットですからねえ…
ユキがトキの顔をしっかりと見て褒める。
「トキ よく決断したね。一緒にトキの頑張ろうね」
トキの決断を褒めたユキだが 本当に一番大変なのはユキになるのではないか?
自分も何ができるかわからないけれど 自分も頑張ろう!っと レオナも自分の手を握り締めて小さくガッツポーズをとる。
それを理央が見つけて ユキを軽く小突きながら笑顔で言った
「ほら レオナちゃん、協力してくれる気 満々だね?」
今日も頑張る!