2-33 園芸ポット
あ!! 深淵!?
塩を!っと思った時には 理央がその黒いモノを”拾い”上げていた。
「今の風 強かったな トキ大丈夫?」
理央が手にしているのは 園芸ポットだ。黒いポリエチレンで出来ている花や野菜の苗が入っているアレだ。
「ソレ 深淵にすごく似ている 深淵かと思った」
トキが片手をソラとつなぎ 片手を理央の腕につかまりながら言った。
それを聞いたレオナが ごみ箱を探してキョロキョロする理央に言う
「トキは大丈夫です。ソラと一緒に理央さんの手につかまってます。それから 理央さんの持ってるソレ、深淵に似ているそうです 師匠にお見せしましょう!」
テラスには まだユキの姿は無かった。
久しぶりに会えると楽しみにしていたのは自分だけだったのかと レオナは少しだけ腹立たしいような 寂しいような ガッカリしたような
説明できない気持ちになりながら指定席に座ってさっき理央が拾った園芸ポットを弄ぶ。
理央はレオナのノートに 園芸ポットの絵をいろいろな角度で書いている。
もうすぐ8月だというこの時期に 屋外のテラスに居られるのは 理央に纏わりついているソラとトキが冷気(霊気?)を放出してくれているおかげだろう。
「幽霊は 地球温暖化を救うかもしれない」とは 理央の言葉である
「あ!ユキさんだ!」
トキの言葉に レオナが道の方を見ると白いシャツ姿のユキがやって来るのが見える
トキと三人でお揃いだ!っとレオナは口の端が上がるのが止められない。
「皆 早いね! ごめん ごめん」
っと いつもの椅子に座るユキの眼が レオナが持っている園芸ポットに止まる
「何 それ?」
「園芸ポットです! 先ほど トキとガーデンに入ったところで 風が吹いて転がって来たのを理央さんが拾ったんです。トキが”深淵に似ている”って言うので 持ってきました!」
ユキがレオナに(レオナの話にかもしれないが)興味を示してくれたのが嬉しくて顏が緩むのを自覚しながら言い、園芸ポットをユキに渡す。
ふーん と園芸ポットをためすがめつ見るユキに 園芸ポットをコロンと横向きに転がしてトキが口を開く
「ほら そっくりでしょ?」
ユキとレオナが同時にぽかんとした顔になった。今まで 丸(球体)だと思っていた深淵は円柱だったのか?
モデルにさせて頂いている場所もボランティアさんが活躍してます




