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6.レオナ暴走する

「大丈夫?」

ユキに声をかけられて 自分のいるところを思い出す シレーヌに取り込まれるところだったとほっとする


写真を撮り終わった家族は もう行ってしまったらしく 車いすの女性も深淵も もういない

近くのベンチに二人で座る


「弟さん大丈夫ですか? って言われちゃったよ  兄弟に見えたのかな?」

ユキが苦笑しながら言う


「弟さん?」

「そうそう 僕たち 似てるかな?」

「それ以前に 私 女子ですけど・・・?」


ユキの笑顔が固まり 二人の間に 何とも言えない沈黙が流れた


ユキは レオナ以上に当惑しているようだ。


それはそうだろう 普通 女子中学生は身体で男子高校生を壁に押し付けたりしない。机と自分の体で

男子高校生を壁際に閉じ込めるようなこともしない。

無意識とはいえ そんな事をする短髪小柄なコドモをユキが男子と思ったのは無理もない事だろう


とはいえ、乳児でさえ女児を男児に間違えるのはアウトだと言われているのだから 少女を少年に間違えるというのはかなり失礼な話でもある。


ユキは「弟」という言葉を使ってしまっている。もちろん「君 男子だよね」とか聞いたわけではないし間違えたのは先ほどの家族だ が ユキもレオナを少年だと思っていたことは分かってしまっているだろう。


重い沈黙に レオナも何か言わなくてはならない気がして


「髪が短いし 背も低いから 小学生男子だと思ったんでしょうか?」


っと言ってみた。



せっかくのレオナのフォローだが ユキは何と言っていいのか分からない という表情で言葉を無くしていた。

少年だとばかり思っていたレオナが少女であったこと以上に 過去にかなり近い位置、肌が触れ合うほどの近さで隣り合って座っていたという事実がユキの動揺の原因だろう


ユキは しばらく無言で固まっていたが 一瞬 目を泳がせた後、何か決意したような表情になり口を開いた


「あの車いすの人の膝の上 見てたけど 何か見えた?」




え?

え?

え?

このヒト いやこの方 深淵が見えるの? レオナはユキの眼を真っすぐに見つめたまま固まった


もしかして 深淵から逃れる方法をこの人は教えてくれるのだろうか?

レオナにしては かなり前向きな事を考えた


今まで 誰かに深淵の事を話したことは無い が この人は 何かを知っているのではないだろうか?

今を逃したら もう 深淵が見える人に出会うことは無いかもしれない



レオナは たまに暴走する 自分の事以外 周りが見えなくなるのだ

「3歳児じゃないんだから」

と家族には呆れられ


「サトレのたまにしか出ない暴走は エジソンのように何かを生み出すのではと期待しておるぞ」

と 忍には期待されている(?)


その暴走癖が今 出ようとしていた 出さない方がいいのかもしれない、と思いはするのだがレオナ自身にそれを止める術はない


レオナはほとんど見ず知らずの男性の胸ぐらをつかみかからんばかりの勢いで言った


「あの膝の上に居たものについて 何かご存知なんですか? アレな何なんですか? なんで見える人と見えない人がいるんですか? アレについて何かご存知なら教えてください お願いします」

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