2-28 STAY HOME
毎日 出かけていたかと思ったら こんどは全く外に出ないレオナに両親は不思議が
り、「レオンだって少しなら留守番くらいで出来るよ」「買い物くらい行ってくれば?」と声をかけ 引きこもりがちだったレオナがせっかく外に出だしたのにと 残念がったりした。
それから、それまで全く興味を示さなかった高校野球に突然興味を示し始めて
食事中もテレビをつけておきたいと言い出したレオナを訝しみながら 高校野球だけは食事中にテレビをつけていることを許可してくれた。
レオナは テレビを というよりもテレビを見ているトキを眺めながら食事をしていた。
両親は「これもガーデンの友達の影響だろう」とか「その友達は高校生なんだろうか 」とか「もしかしたら高校球児なのか?」とか 聞えよがしに話していたが レオナは聞こえないフリをした。
レオナはベッドの上に寝転がって トキと”深淵ノート”を見ていた。
レオナの書いた下手くそな棒人間に「レオナちゃん、字と絵は下手なのね」っと真顔で言われたのには傷つく……よりも むしろ笑った。
「こっちの理央さんの絵見て すごく上手でしょ? 私の下手な字が目立つわ…この女の子はトキっぽいと思うなあ」
レオナが理央の為にトキの話を書き取り 理央がイラストを付けたページを開く
トキが あの時のね…
と思い出した様に話し始めた
「風に飛ばされてお別れしたおばあちゃんもいたけれど…命が終わるまで一緒に居た人もいたのよ。
たくさん笑ったり歌ったころに …深淵ってレオナちゃんたちが呼んでいる物?が現れて おばあちゃんを連れて うーん おばあちゃんの方から入っていくのかな? 穴は小さいくて 身体は入らないからおいていくのよね?」
トキの瞳が懐かしさを湛えているように光る
子供の顔のトキが レオナよりも大人の様に見えてくる
「お迎えが来たって言って おばあちゃんの魂が入ると 深淵がシュって 溶けるのを見て ああ サヨナラだなあって またトキは一人になるの でも 今はレオナちゃんやソラがいるから 大丈夫よ」