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2-26 トキとレオン

「ここで待っていてね」

レオナは トキを自室に連れて行きここに居るように言う。トキは自分の意思で移動できるが 突風に飛ばされるらしいから風船扱いだ。


「お待たせ!」


レオナが部屋に戻ると トキは窓から外を見ながら待っていた


「ずいぶん 風景がかわったことはわかるの。ずいぶん 時間もたったんだって思うの。でも かあちゃんが おうちで待っててっていったから… まっているの 待つことは得意よ」


トキは相変わらず無表情で言う。…トキが 戦争で死んだのだとしたら、もう70年以上を彷徨っているのだ。

一人で家を探し 母を待ち 何度も風に飛ばされて見知らぬ街に連れていかれ、それでも 約束を守って この世に留まっている。


レオナはトキを抱きしめたくなって 実体を感じないその身体を両腕で包み込む


「ありがとう レオナちゃん」


その言葉に嬉しそうな響きを感じて レオナはトキの顔を見るがやはりトキの顔に微笑みは無い。




信じる力って凄いなあっとレオナは思う。まあ、レオナ自身も 逆の方向に信じる力を発揮させて 10年も拗らせてきたのだが…


バタン!! 部屋のドアが開くと同時声がした


「おねえちゃーん そろそろご飯だって」


レオが扉を開けて告げる。え?っと トキが振り返るが レオには何も見えないらしく 


「早く来てね 今日は冷やし中華だから伸びちゃうって」


っと言ってまたパタパタとリビングに戻って行った。


「やっぱり見えないみたいね。 でもこの家から出てどっかに飛んいっちゃうと

 大変だからこの家の中に居てね。」 



夜 レオナはトキとレオンと一緒に「青い鳥」を読んだ。レオンが レオナの膝の間に座り 声を出して、

ゆっくりと読んでいく。


同じ年ごろのトキがそのレオンの隣でそれを聞き、レオナの母親も少し離れた所で何か書き物をしながら聞いている。


「なんで 病気になって死んじゃうのに生まれるんだろう?」


チルチルとミチルの来年生まれる弟が「僕は3つの病気を持って生まれて その後はいなくなるんだ」と言うセリフを読んだ後でレオンが呟く


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