2-20 ガーデンカフェテラス劇場?
「ソラやトキが喜ぶかなと思って持ってきたんだ。 はい こっちが台本。ユキがチルチル、レオナちゃんがミチル あとは俺が読むからさ」
理央が紙芝居劇場を上演する状況を作り上げているのに レオナは気が付かず レポート用紙3枚にまとめられた台本をパラパラと見て言う
「ずいぶん 短いですね?」
「うん 観客も演者も子供たちだからね 短くないと飽きちゃうんだよね。 でも、ユキのおすすめの 思い出の国 と 未来の国 は必須だよ。他の国は夜の国以外は”他にも沢山の国を旅しました” で まとめられちゃってるけどね。……始めるよ!ソラとトキ、居る?」
レオナが頷くと 理央がテーブルに1枚目を広げて、台本を読み始めた
「あるところに チルチルとミチル という兄妹が住んでいました。。。」
兄妹は 思い出の国 夜の国 未来の国 へ 青い鳥を探しに行く。
思い出の国で 死んだ祖父母や弟妹に会い 夜の国で夜の女王に会い 未来の国では
病気を持って生まれるという弟に会う。しかし 青い鳥は見つかっても色が変わって死んでしまったりして つかまらない。最後に二人は 自分の家で目を覚ます。
「おにいちゃん 見て! うちの鳥かごの鳥 青い鳥だわ!」
と レオナが頑張って作った作り声で物語は終わった。
人前(?)で 声を出すなど記憶にある限りでは初めてだが 間違えずに読めたことにほっとして ソラを見ると意外なことに真剣な顔で見ていた。
トキは?とみると無表情のまま パチパチと手をたたき
「おもしろかった もういっかい!」
「OK! もう一回ね! OK]
っと 理央が さっさと紙芝居の順番を整え、今度は二人に見やすいように椅子に紙芝居を立てかけて調整しはじめた。
主演声優?のユキやレオナにはお構い無しのその様子に、レオナがユキを見ると”しょうがないなあ”という顔をレオナに向けた。
この二人はいつでも こんな感じなのだろう。
「もういっかい! もういっかい! もういっかい!」
無表情に言う トキにせがまれて 5回目の上演が終わった。
パチパチと複数の拍手の音がした
いつのまにか ”ガーデンカフェの紙芝居劇場”に 何組かの親子が集まって観劇してくれていた。
理央がおどけて レオナの右手を取り ユキとレオナに手つなぐように目で促す ユキが「理央!」っと小声を飛ばしながらも レオナと手をつなぐ
カーテンコールの様につないだ手を挙げてから 大きく一礼する
顏を上げたレオナの眼に キラキラと眩しいシャボン玉と 毛並みの良い黒い毛玉(?)が花壇の縁に丸まっているのが見えた。ユキを振り仰ぐとユキも驚いたような顔をしていた。