2-19 理央とトキ
3話目いっちゃいます
レオナとしても 家で一人で食べるのも寂しいので お言葉に甘えて一人で食させて頂く事にしている。 まあ トキがジーっと見つめてくるのは若干落ち着かないが…
食べながら 好きな食べ物の話をする
”あの門のあたりをグルグル回っていた”というソラよりも 文字通りに風まかせで何十年も彷徨っていたトキは意外にも物知りで
「タピオカはきもちわるい けど ももいろのマカロンはかわいい」
とか
「パンケーキはかあちゃんもつくってくれた」
とか 無表情ながら沢山 語ってくれ、レオナが抹茶のマカロンが好きだと言ったら 緑いろも綺麗だと同意してくれた。
美味しい物や 綺麗な物の話をして レオナとトキは一気に打ち解けた。が ソラとユキは揃って呆れたような視線を二人に送っていた。
「ユキ いいもの 持ってきた」
理央が大きな紙の束を持ってきた。模造紙半分を1枚にした 手作りの紙芝居
「うわあ これ 紙芝居ですか? あおいとり? 青い鳥!」
「そうそう 前にさぁ、俺とユキで作ったの 子供たち相手のイベントに使うヤツ 絵が美しいでしょ? 俺が下書きして、小学生が仕上げたの ユキは絵が下手くそだから台本作成したんだよな ほい!」
厚紙で表紙を作った台本を鞄から取り出して 紙芝居の横に置く。
そして そこにあった椅子に足を少し広めに開いて 両手を手のひらを上にして座る。まるで 誰かを抱きしめようと待っているように… そして 何もない空間を見て優しい声で言った
「ソラ おいで!」
理央の後ろに居たソラが慌てて 理央の膝の間に飛び込むと それが分かったかの様にソラを抱きしめる。といっても はやり理央の手はソラを突き抜けてしまうけれど
理央がチラリとユキを見るとユキが頷いた。
「久しぶり ソラ イイコにしてたね?」
呼びかけられて ソラは嬉しそうに笑って頷く ユキも頷くのを見て今度はトキに呼びかける
「トキ 初めましてだね おいで」
ソラがトキを連れてきて 背中を押すようにしてトキを理央の膝の中に押し入れる
「僕とも仲良くしてね」
と言ってやはり 視えないはずのトキを抱きしめる。
「理央 視えないとは思えないよなあ 僕よりよっぽど彼らに慕われてるよ」
ユキが呆れたように言ってからちょっと笑った。 レオナも 失礼ながらその通りだと小さく頷く
ユキは 面倒見がよいし 優しいのに表情が乏しいからか冷たい印象がある。それだけに レオナはユキの笑った顔が好きだ。
「それで トキはどんな子なの?」
「5歳のとっても可愛らしい子です 長めのボブで 白いワンピースを着ています」
「あれ?今日のレオナちゃんみたいな服かな?」
理央がレオナの服とトキの服が似ているのかと指摘してくれた事がレオナは嬉しい。
カフェでコーヒーを買って来た理央が紙芝居の順番を確かめながら言う
「ソラやトキが喜ぶかなと思って持ってきたんだ。 はい こっちが台本。ユキがチルチル、レオナちゃんがミチル あとは俺が読むからさ」