2-16 10年ぶりの祖母の家
夕方 迎え火を焚いた
「おばあちゃん 粗忽だから家を間違えないようにってうちはいつも盛大に焚くの」
「それ以前に お盆は8月だよね~とか言って帰る支度してなかったりしてね」
「あ~ 有りそう」
「来るときに 馬じゃなくて牛に乗っちゃって まだ来てないとか?」
「お祖父ちゃんが一緒だから大丈夫でしょ?」
「あ それを祈ろう」
「誰に?」
「え?お祖父ちゃん?」
「毎年 お祖父ちゃんと一緒だから帰ってこれるんだったりして?」
「違いない!」
レオナの祖母 生前よほど やらかしていたのか迎え火を焚かれながらも散々な言われようである。
でも 10年経ってもこうやって思い出してもらえるお祖母ちゃんの事 みんな好きなんだね 遅くなっちゃったけど 来れてよかった。これも師匠のおかげです。 とレオナはユキに感謝する。
火が消えないうちに 近くに住む、伯母一家もやって来た。
「レオナちゃん!!ひさしぶり 大きくなったね~ あんなに小さかったのに」
「レオン君? 可愛い!!!!!」
「叔父さん ちっとも連れて来てくれないから」
「こっちに 遊びに来いよ 狭いから雑魚寝になるけどな」
「あ~!!行きたい 行きたい」
久しぶりに会った大人達は楽しそうに昔話に花を咲かせ 年上の従姉兄たちに可愛がられてレオンも楽しそうだ。
翌日は 家族でお墓参りに行ったり 父親のソウルフードだというラーメン屋さんに行ったり 家族で楽しく過ごし 夜は従兄姉たちとの花大会 と ”これぞ夏休み”をすごし…
今 レオナは大学生の従姉と縁側に並んで腰かけて お風呂の順番を待っている
「レオナ 中学受験したんだよね?って言っても もう中2かあ 大きくなるはずだよね最後に会ったの私が小学生の時だもんね」
「うん それに引っ越しとかもあって なかなか来れなかったんだ…」
暫くの沈黙が流れ
「おばあちゃんが死んだのショックだった?」
「うん …… なんか おばあちゃんの御遺体?に対面したときに凄くショックだったの。……あの時 あの世の入口が見えたって言ったら信じる?」
レオナは少し遠回しに聞いてみる 従姉は首をかしげて、しばらく考えてから
「あの世への入口かあ 七つまでは神のうちって言うじゃん? この世の人には見えない不思議なモノが子供には視えるらしいよ レオナはお祖母ちゃんの秘蔵っ子だったし 視えたのかもしれないね 私は今も昔も見えないけどさ、お祖母ちゃんは”視える人”だったらしいからね」
レオナが今も見えると言ったら どう思われるだろうか?




