2-10 7月第二木曜日
天気予報通りに 翌日の火曜日から天気が崩れ 水曜日は暴風警報まで発令された
バラが飛ばされてしまわないといいけれど とレオナはバラと自由研究の心配をしてから、ソラの事も心配してあげなければとちょっと反省した。
火曜日の夜に 父方の伯父から電話があり、急ではあるが7月のお盆に父の実家、つまり レオナの祖母の家に行くことになった。
祖母が亡くなってから10年 レオナが祖母の話が出来るようになった事でもあるし
父の兄姉たちも集まることになったらしい。
時々 父親だけは行っていたようだが レオナと母親は葬儀以来 レオンは生まれて初めての訪問だ。
四つ葉市から父の実家までは距離にして700キロ。葬儀の時にはどうやって行ったのか、レオナにはその記憶が全くない。
今回は お土産や宿泊の荷物もあるから車で行こうか お土産は何にしようか 向こうでは何を食べようか と両親が楽し気に話すのを聞きながら レオナも久しぶりに祖母の家に行く事や 従兄弟たちに会うを楽しみに思う自分に驚いた
木曜日は快晴だった 日中暑くなることを思うと少々気が重いが夏だから仕方がない
いつもの麦わら帽子をかぶり せみ時雨(豪雨?)の中 レオナはガーデンに向かう
暑いから深淵も息を潜めているのか 無事にガーデンの門に到着する ソラがいるかと見回すが ソラも深淵も見当たらない
従姉妹たちと心置きなく遊ぶためにも 宿題を進めなければ と張り切って図書室へ向かう チラリとみたテラスには人影も 人外も 深淵も居ないようだ。
図書室の指定席 傾斜のついた机は宿題をするには若干使いにくい、苦手な数学に頭を悩ませ 合わない答えに「やーめた」っと顏をあげると 斜め前で本を読んでいたのはユキだった
相変わらず 師匠は細いなあ 色も白いし 指も細いなあ 最初は指定席で見たときは女性か?って思ったけど 壁際に押しやって悪いことしたなあ よく怒られなかったなあ 師匠と巡り合えてよかったなあ
”普通”になれたかは分からないけど 毎日がすごく楽しい 今日だって深淵に怯えてないし。。。あーでも これからソラに会うのかな? ソラはいいんだけど ソラの深淵がなあ
とりとめのない事を考えていると 本から顏を上げたユキと目が合う
「もう 終わったの?」
「ここが… 答えが合わないんです」
小声で訴えると どれ? と 身を乗り出して教えてくれる。
師匠からは クラスの男子のような男子っぽさは感じられない もっと 透明な清潔な匂いがする
「ほら 聞いてる?分かった?」
ユキが小声で言って レオナの頭を人差し指で軽くつついた。
レオナは慌てて ユキが書いてくれた補助線を見る




