2-7 結界?
テラスの近くでソラが立ち止まった。
「ん?今 なんて言ったの?」
「ユキさんが 許可なくこのテラスに入っちゃだめだって、このガーデン?自体もダメって言ってたけどおねーさんの許可で入れたから こっちも行けるかな?って思ったけど ちぇ」
悪戯が失敗した子供のような顔をして言うソラはちょっと可愛いけれど もやもや深淵は怖い
「私は お昼までは図書室で宿題やってるから お昼の鐘がなったらここで会うという事で…」
と提案して ソラから離れた
お昼の鐘を聞き レオナは慌てて荷物をまとめる ユキは来ているだろうか?
テラスに寄るが 夏のお昼時 テラスには誰もいない
テラスのいつもの席にはいつものようにユキが居てほしいと期待している自分を訝しく思いながら 速足でソラと別れた場所に向かう
「おねーさん 遅いって」
花壇の囲いに寝転んだソラが言う
「ソラ その深淵 ちょっとしまうこととか出来ない?」
「深淵? ああ このモヤモヤ? 深淵って言うんだ?
ふーん しまう? そんなことどうやってやるの?」
「出来ないんだ?」
「こいつ 僕の言うことなんて聞かないもん」
「どうしたらできるか考えなよ 師匠はやって見せてくれたよ。かっこよかったなあ
そうだ ソラ 深淵研究会!って名前どう思う? 師匠 許可するかな?
名前ベタすぎるかな? どうかな? 深淵研究会 あ でも… 」
例によって レオナが暴走しかけたところに
「ソラ!どうやって入ったんだ? レオナちゃんに何かしなかったか?」
ユキがやってきて 小声だけど鋭い声で言って ソラを睨んでいた。
「師匠 すいません ソラは立ち止まっていたのに 私が呼んじゃったんです
すいません…」
「はあ。。。ソラに騙されたかな? ここは暑いからテラスに行こう
ソラ お前も 来るか?」
顏を輝かせたソラと ちょっと背中を丸めたレオナを見比べてユキが再び溜息をつき
テラスに向かった
テラスの近くでソラが立ち止まった場所で 少し先にいたユキがソラにささやく
「来い」
それだけで ソラが立ち止まることなく進むのを見てレオナは師匠はやっぱりすごいと感心する
テラス席の一番奥のテーブルに居るのは 人間二人と人外1組(?)
「失礼します いただきます」
レオナがいつものように ミルクティとサンドイッチの昼食を広げる。
ユキは ソラの方を向き直って 厳しい口調で言う
「ソラ レオナちゃんに近づくなって言っただろ お前の深淵は彼女に見えるって事は……
まあ お前が何者なのかも分からないんだから用心したくもなる」
「ユキさん 僕 言葉遣いだって考えてるし 誰かと話した方が自分の事思い出せる
って思うんですけど?」
「よし じゃあ 話をしよう。お前、なんでガーデンに居るんだ? 理央の前には誰もお前に気づかなかったのか?」