3.ローズガーデン
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レオナは 「自閉症疑い」なんだそうだ
深淵のことさえ忘れていれば まあまあ普通に生活できると思う。踊りながら歩くこともないし 深淵の事を考えてぼーっとすることもないだろう。外出だって気軽にできるのだろう…
だが 現状ではレオナの最優先項目は深淵との遭遇をいかに回避するか?なのだから 深淵の事を忘れることは不可能だ。
そんなレオナは中学生になってから 月に二回ほど駅で2つ離れたところにある
「ローズガーデン」という施設の中にある「スクール」へ行っている。
レオナは「ガーデン」とか 「スクール」と呼んでいる。
ガーデンにはローズガーデンという名前にふさわしく 立派なバラ園がある
ボランティアの人達が丹精込めてお世話しているバラ園は冬の一時期を除いて バラが見事に咲いていて バラ園目当てに四つ葉市外からも訪れる人が居るほどだ。
ローズガーデンの敷地に入って真っすぐに行けば病院棟の玄関へ 右手にあるバラのアーチをくぐり抜けて バラの小道を行けば スクール、図書室そしてNPO経営のクッキーや紙コップでドリンクを提供するカフェの入った建物が左手に有り、更に進めば小さな東屋があり 突き当りにはホスピス棟がある。
レオナはスクールでの学習が終わると そのカフェで飲み物を買って カフェのテラスで母親が作ってくれたサンドイッチを食べる。
母親のサンドイッチは美味しい。だから食べたら無くなってしまうのを少し悲しく思いながらゆっくり食べ 最後にミルクティもゆっくり味わう
不思議な事に カフェでは深淵を見かけたことが無い だからこのひと時はレオナにとって心休まる安らぎの時だ。
今のバラ園は春のバラの季節、沢山のバラが咲き乱れている。そのバラの香りの中 今日の空のような青いシャツを着たレオナは図書室へ向かう。
図書室では 大きな画集を見るのが好きだ
座る席は いつも決まっている 入口から一番遠い 受付の背中側の角っこの席、
机にちょっと角度が付いているので画集が見やすいのだ。
ベンチと机の間が小柄なレオナには少し広いので ベンチに正座して調整している
その指定席に行こうとしたレオナは 珍しく先客がいるのに気が付いた。レオナよりも少し年上に見える 高校生くらいの男子だ。
ライトブルーのシャツを羽織った彼は 女子に見間違えそうなくらい細身だけれど 手が大きくて喉ぼとけも有るから間違いなく男子だ レオナは耳からの情報には疎いけれど観察眼には自信がある
いや 彼でも 彼女でもどちらでもいい 問題は彼が座っている場所だ。
そこはもう1年前からレオナの席なのだ
ここには 深淵はいないから 少しくらい違う席でも安全だとは思うけれど、レオナはソコに座りたいのだ。
すこし考えて レオナはそのレオナの席に座ろうと決めた。
詰めれば3人位は座れそうなベンチなのだから レオナはいつもの場所に座ればいいのだ
先客はレオナが座るベンチの レオナがいつも座る場所、つまり 一番壁側に壁にもたれるようにして座って本を読んでいる。
レオナはそれでもいつも座る場所に無理やりにでも座ることに決め 画集を持ち直してレオナの席に進む
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