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2-3 人外の少年

蝉時雨 昼下がりの平和なカフェテラス 日陰のテーブルに 学生3人と小学生の人外 実に平和な風景…なのだろうか?


「ねえ レオナちゃん 僕 そんなに視えるわけじゃないって前に言ったの覚えてる?」


ユキが真面目な顔でレオナに問いかけ レオナは頷く


「多分、なんだけど さっきレオナちゃん僕の後ろに隠れたでしょ? 僕とレオナちゃんが接触すると僕の視える力と レオナちゃんの視える力がパワーアップする気がする。理央はしょっちゅう 深淵連れて来るから 何か連れてる気配の時もあったんだけど 人型で、こんなにハッキリ視えるのは初めてなんだ だから ちょっと動揺してる」


ユキはあまり表情が出る方ではないから 今も平然としているように見えるが 実は初めて見る幽霊?に混乱しているらしい。だが すでにユキとの接触でユキの深淵やバラ園での深淵を視ているレオナは意外にも平常心でユキに確認する。


「それって…メガネかけるカンジですか?私 メガネかけないからわかんないですけど?」

「レオナちゃん メガネかけないならその例えはダメなんじゃない? それよりさあ、俺もユキやレオナちゃんに接触すれば視えるのか?!」

「理央はちょっと黙って! こら 暑苦しいから近寄るな!!」


ユキから離れれば見えなくなるのだろうか?でも 見えなくなっても存在している状態と見えている状態とどちらがマシなのか?レオナはそっとユキから距離を取ってみる が 少年も深淵も相変わらずそこに佇んでいる。


レオナがユキを見上げて首を振るとユキも困ったような顔で目を合わせてきた


「レオナちゃんもまだ視える?僕も視えるよ」

「ねえ 俺だけ仲間外れにしないでよ!俺も入れてよ!!」


理央がユキに触ろうと席を立った拍子に 理央の身体が少年を突き抜ける あまりいい眺めとは言えなくて ユキもリオナも顔を顰める


「ダメだ 俺には何も視えない…」

「ふーん そっちのお兄さんと君 僕が見えるんだ?」


ユキと腕を組んだ理央の声と被って 生意気な声がした。


「レオナちゃんは ちょっと こっちに来て」

ユキがレオナを少年から離すように 自分のそばに引っ張る


「君 名前は?」

ちょっと 冷たい口調でユキが少年に聞く 深淵を連れている少年に用心しているようだ 少年は 頭を掻いて

「分かんない。 無かった? のか それとも忘れちゃったのか?気が付いたら あそこにいた」


っと ガーデンの門のあたりを指さす。以前 レオナが感じた怖い深淵はこれだったのだろうか?


「師匠 ゲートだけでなく 幽霊も守備範囲ですか?」


ちょっとずれたことをレオナが聞くが ユキは首を振る


「レオナちゃんのおかげでこんなにはっきりと見えて 会話を交わせているんだと思うよ? レオナちゃんにしてもお互い様だろうけど…」


それから また少年の方を向いて ピシャリと言う


「分かっているだろうけど 目上に使う言葉と態度で接しろ」


いつものおだやかなユキと違う厳しい態度にレオナは驚くが 理央は慣れた様子でユキの目線の先を探している


少年は わずかに瞠目し ユキの目線を受け止めて謝る


「すいません ずっと 人と話していなくて」


「覚えていることはある?」


相変わらず ユキが冷たく聞く


「僕の事 誰も気が付かなかったんですけど そこのお兄さん、 理央さんは一瞬目が合った気がして付いて来たら ここまで来ることが出来ました。レオナさんと ユキさんは 僕の事 確実に見えてますよね? 会話も交わせているし」


レオナたちの会話から 名前を推測したらしい 頭もよさそうだし きちんと話す事もできるらしい。顏だって小学生にしては整っている。


黙って頷くユキに少年が続ける


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