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20.ユキは推察する

「レオナちゃんには 多分 優しい、無害な深淵は見えてないんじゃないのかな? 僕の深淵は レオナちゃんにとって無害だから視えない、のかな? あの時も僕から手を離したら視えなくなったでしょう? レオナちゃんに視えるのは有害な深淵だけ?って気がするんだ…」


レオナは新しいページに「師匠」と書いて棒人間を書く 隣のページに「レオナ」と書いた棒人間にフキダシをつけて、「有害深淵だけ見える?」と中に書き込んで そのページをじっと見る


「私には 悪い深淵だけが視えるんですか?」


レオナは独り言のように言ってから ノートの”レオナ”という文字を見つめた。




「私の名前 レオナって祖母がつけてくれたんです 雌ライオンの事なんです。強く 美しく育つようにって。名前と私ってマッチしてませんよね…私 本当に弱虫で…

名前負けの見本みたいですよね…」


昨日 ユキには情けない姿を見せてしまったけれど ユキは呆れる事無く こうやってレオナに向き合ってくれている。

もう これ以上 レオナの評価が下がることは無いと思うと安心して(?)弱音が吐けるような気になって 以前から思っていたことを言ってしまう。


「そのおばあちゃんって昨日 話してくれたおばあちゃん?」

「はい そうです  私の事 すごくかわいがってくれたんです」

「そうかあ、おばあちゃんはレオナちゃんの名付け親なんだね。レオナちゃんをとても可愛がってくれてたんだね?」


レオナは頷く 

ユキは頭の後ろで手を組んで 椅子の背に寄りかかって遠くの空を見て考えている。

レオナは 静かにユキの言葉を反芻しながら ユキを眺める。

しばらくしてから そのままの姿勢でユキが言う。


「レオナちゃんそそっかしい、とか 不注意ってよく言われない?」


レオナは 忘れ物が多い 宿題を忘れて朝 学校で慌てることもしばしばだし 水筒も中学に入ってから3つ失くした

レオナが カフェでドリンクを飲むことにしているのも 水筒をなくすよりは カフェで買いなさいと母親に提案されたからだ


「師匠 私が水筒をなくしてばかりいるってなぜ分かったんですか?」

レオナは 頷きながら、少しずれた方向に驚く


「レオナちゃんが水筒をなくしているって今知ったけれど  それをばらしちゃうあたりからも 沈着冷静なタイプでないのは よく分かったよ」


しまった!っという顔をするレオナに 姿勢を戻したユキが失笑して言う


「そして 失礼だけれど レオナちゃんのお祖母ちゃんも 同じようにそそっかしい人だったりしないかな? お祖母ちゃんはレオナちゃんが危険を避けられるように 悪い深淵を視える力を与えてくれたんじゃないかな?」


レオナがよくわからないという顔をすると


「僕も視える深淵はほんの一握りなんだけど、レオンちゃんが視えるのはもっと少ないでしょ?

初めて一緒に見た 質の良い深淵は、ずいぶん大きなものだったから見えたのか 僕が一緒に居たから見えたんだと思う。僕の深淵だって 僕に触れていたから視えた つまり、

レオナちゃんは近寄ったら危険な深淵だけを選んで見つけているような気がするんだ。

  お祖母ちゃんは 大事な孫のレオナちゃんを守るつもりで危ない深淵を視る力を”プレゼント” した。見える事によって避けてもらおう、と思ったんじゃないかな?」


ノートの「レオナ」の下に お祖母ちゃんからのプレゼント と書いて考えるレオナにユキが続ける

ありがとうございました

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