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18.ユキは深淵にハマる


この時は僕のひいお婆さんの葬儀だったんだけど、人慣れした動物みたいな深淵を連れた人たちが何人かいた。その中の一人が有さん。この前話した人。7つの僕から見たらオジサンだったけど、後で知ったら今の僕くらいの年齢だったんだよね。

有さんが抱いている深淵を僕は黒猫だと思った。 僕が触りたいというと この間の3つの注意…」


ここでユキは覚えている?というようにレオナを見たので レオナは頷く それを確認してユキは続ける


「深淵の事はあまり人に言わないこと 人の深淵に触らないこと 自分から近づかないこと これを教えてくれてから 特別だよ と言って有さんの深淵に触らせてくれた」


レオナは無言で頷いて紅茶を飲み今度はハムサンドを頬張る


「有さんが触らせてくれた深淵、彼はバディって呼んでいたけれど、何もないのに確かにある、暖かい不思議な感覚だったよ。それ以来 僕は深淵にハマった。


僕の視界の中に 深淵が入ってくるようになったのは、深淵に触れたことがきっかけだったのか それとも 興味を持つと見えてくるって事あるよね? えーと」


「カラーバス効果 ですね?」

レオナが小さく手を挙げて言う


「そう そのカラーバス効果なのかもしれないけれどよく目にするようになった。ただし 僕に視える深淵は ほんのごく一部のようなんだ。多分 僕の眼には見えない深淵が本当は沢山 存在しているんじゃないかと思う」


「なんでそう思うんですか?」

「人間がそれぞれ持っているにしては、見えている深淵が少なすぎるから、かな?」

「なるほど あ!人がそれぞれ持っているから お互いにバディなんですね!」


レオナの言葉にユキが頷いた。

レオナは残りのサンドイッチを口の中に押し込むと シャツの大きなポケットからオレンジの表紙のリングノートを取り出す。細い ボールペンを無理やりセットしてある


最初のページには 三大ルール「さわらない 近づかない 人に話さない」と「でも怖くない」と書いてあり パラリとめくると 昨日の棒人間たちが 清書してある。


ノートを開くのを確認して ユキが言う


「深淵については 僕の友達一人を除いて、真面目に話をするのはレオナちゃんが初めてだから 誰かと情報交換とかもしたことがない だから 僕の推理とか経験からの話になる。レオナちゃんが違うと思ったら言ってほしいんだ、頼むね」


ひたすら深淵から逃げていたレオナに話せる事は何もないだろうと思いながらも レオナは頷く


「僕が視る深淵の中には 不思議な事に持ち主が見当たらない深淵も居るんだよ。

 人は深淵を連れているはず でも 深淵だけが存在しているなんて不思議でしょ?

しかも なんて言うのかな? 良くない雰囲気を醸し出す深淵になってる。 

自己流なんだけど、塩はお清めの効果があるって言うから バディの所に帰るようにって言って 塩で僕と深淵の間に結界を作ると 離れていく。 バディを見つけられているといいけど… そこまでは僕にはわからないけどね…」


「師匠…深淵にまで慈悲深いなんて…流石師匠です!」


レオナはいたって真面目に言い 新しいページの”カラーバス効果?”の下に”塩?”と書いた。


ユキがノートの上に身を乗り出すようにして レオナのノートを覗き込む


「僕もちゃんと有さんとの話をメモしておけばよかったかな?ちょっと見てもいい?」


レオナの了解をとって 次のページをめくる

そこには 半分黒 半分白の丸が書いてあり 黒の部分には IN の→ 白の半分からは OUT → が書いてある


「これは?」    


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