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16.レオナ弟子入りする

「次の小学校では 流石に私も頑張ったんですけど、今度は自閉症?とか言われて 

あの 人の眼の黒いとこ 瞳孔?が怖いんですよ 深淵みたいじゃないですか?


今は 錬心学園の中二です。錬心は 変わり者が多いって言われているのご存知ですか? 他人から見たら私も変わり者らしいんですけど… 

あ 前に"深淵も見ている"って言葉教えてくれた あっちゃんも錬心なんです


深淵の事は ちょっとだけ人に話したことあるんですけど、今のところ 見えてる人は 師匠しか会ったことないんです」


レオナはチラリとユキを見た。興味深げに聞いているようだったので とにかく話そう、見捨てられないようにとにかく話をつなげようと思った


「亡くなった祖母は すごく私の事可愛がってくれてて、私のレオナって名前つけてくれたのも祖母です。


だから 祖母のお葬式に行かなければよかったなあって思っちゃうの嫌で

でも 行かなかったら 私 もっと 普通に生きてこれたかなって思うと やっぱり 行かなければよかったなあっとか 思っちゃうこともあって…」


レオナは優しくて 楽しい祖母が大好きだったハズなのに 祖母を思い出すと同時に深淵も思い出してしまう。

深淵を否定しようとするのは 祖母を否定することになる。 それは嫌だ 祖母を否定はしたくない。でも …

では どうしたらいいのか? 解らなくて 泣きたくなる。


小さいころ 自分で勝手に転んでおきながら

「おばあちゃんのせい」

っと 祖母にすがって泣いたら よしよしと慰めてくれたように、祖母のせいにしても 祖母はただ慰めてくれるだろう。 


そう思うと ますます 自分が情けなくて涙があふれてきた。


おばあちゃんごめんなさい

おばあちゃんごめんなさい

私が弱虫だから おばあちゃんのせいにして ごめんなさい

強く成れなくてごめんなさい



ユキが 遠慮がちに 泣いているレオナの頭を撫でてくれた。



レオナは 2つ目の小学校に移った時に もう人前では泣かないと決めていた 

悲しくなったり 困ったときに無表情になることはあるが泣くことは無かった。

5年間 泣くときは一人の時だけだった それなのに今 涙が止まらない。



ポロポロと涙を流すレオナの頭をユキは優しく撫でる。



ユキにとっての深淵は 決して否定するものではない。

避けたい どころか 見つけたいくらい好きなモノでもある。


レオナとの違いはどこから来るのだろうか?


ユキが初めて会った深淵が暖かくて優しい深淵だった事か?

その持ち主の有がレオナの言葉を借りれば、優秀な深淵使いで、幼いユキに短いけれど適切なアドバイスをくれた事か?


ユキの冷静な性格も 深淵と付き合うのには良かったのかもしれない。

ユキはごく普通に 子供が石や虫に興味を持のと同じように 深淵に興味をもって近づいた。

ただ 慎重な性格ゆえ 毒がある虫に注意するように深淵にも注意して接してきた。


それに比べてレオナは 深淵について何かを教えてくれる人に出会う事も無く、一人で正体不明の深淵に怯えてきたのだ。


ユキと正反対の角度から深淵と対峙する少女、彼女は今 目の前で泣いている。


ユキは レオナの頭を撫でながら いろいろと考えを巡らせていたようだが、やがて 撫でていた短い髪の頭を ポンポンと優しくたたいて


「レオナちゃん 僕 良い師匠になれるかはわからないけれど、レオナちゃんがちゃんと深淵使いになれるように協力してあげよう 頑張ろうね! 弟子くん」


ユキはふざけた言い回しが得意でないのだろう お道化た言い方がいかにもぎこちない。

そのユキの言葉にレオナは顏を上げて 赤い目と鼻で


「はい!!お願いします お師匠サマ」


と言って 頭を下げた。


その拍子に 机に置いてあった ペンがコロリと落ち、 レオナがそれを拾おうとして 今度はノートがバサリと落ちた。ユキがノートを拾ってレオナに渡しながら言う 


「今日の修行はここまで!」


「ありがとうございました ご無礼致します」


レオナは俯いたまま ユキに告げてテラスから速足でガーデンの出口に向かう


はあ。。。。人前で泣いてしまった。出口付近に深淵が居ないのを確認してガーデンを出る。

レオナは家に出るまでほとんど顏をあげる事無く帰り 玄関を入ったところで ほっと一息ついた時に気が付いて 叫んだ


「あ!師匠と次の約束をしてない!!」

 

その少し前、 一人テラスに残って 自分の芝居じみた言動に赤面しながら レオナの話を反芻していたユキも 同じことを思い 呟いた


「まあ ご縁があればすぐに会えるんだろうな」


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