第7話 模擬戦
2021年 5月16日
場所、秋夜が勝手に作った試合エリア(能力の悪用)
この日は秋夜が一日だけ模擬戦を許可された日だった。だから秋夜は朝から張り切って……張り切りすぎて謎の戦闘エリアを創って待っていたが……
「誰も来ないじゃん……」
そう。当たり前だが、5月も半分終われば模擬戦をやりたくて出歩く人も少ない。勿論、こんな目立った場所が出来たところにわざわざ来る人なんかいるはずもなく……
「退屈だぁ〜……能力の悪用するか」
秋夜が呟いたタイミングで、秋夜から10m程度離れた場所に帯権キアラが現れた。
「えっ?ここどこ??なんでこんなとこに??」
「うーん……ハズレ?あんま強くなさそう…ま、いっか戦お!」
「よく分からないけど決闘?なら全力で!殴りあおうぜ!!」
「やったぁ!早速そっちからどうぞ」
秋夜が言うや否や、キアラは秋夜の懐に入り込み、拳を放つ。だが、拳は秋夜には当たらず10cm程手前で突如停止した。
「ふむふむ、意外と早いねー」
「なんで当たってないの!?」
「そんで判断もまぁまぁ早いと」
キアラが大きく後ろに飛ぶと、つい先程まで立っていた場所に大きなクレーターができる。
「躱したね?後ろに飛ぶのは悪手だよ」
秋夜が呟いた瞬間、キアラの体が空中でなにかに吹き飛ばされ、右に左に上に下にと、周囲に叩きつけられた。
「……加減したけど…やり過ぎたかな?」
なんか、この子ボロ雑巾みたいになってる。治して元のとこ戻しとくか……
秋夜がキアラをポイッと宙に放り投げるとキアラの姿はその場から消えた。
「次は誰が当たるかな〜♬……ほいっ!」
「……急に何処ここ」
「おっ?なんか雰囲気は強そう」
次に現れたのは白影薫衣だった。薫衣は秋夜の姿を見てすぐに状況を把握し、戦闘態勢に入ったが……それでも判断が遅かった。
「……んんん〜♬」
10分後、まともに「反転世界」が使えないまま、キアラと同じようにボロ雑巾となった薫衣はキアラと同じようにその場から消えた。
「よーし!くみちょーが来るまでガチャやるぞ!!」
この後、殆どの人物が秋夜に強制転送させられてボコボコにされたのは言うまでもない。
……なお、肝心の組長は前日から「神託」を応用して逃げていた。
ちなみに、秋夜は天狐組長にめちゃめちゃ叱られた。