第3話 入学式から1週間後
3月8日
〜天狐寮 331〜
「ひまぁ〜!!くみちょーのとこ行きたい〜!!!遊びたいぃ〜!!!能力使いまくりたいぃ〜!!!!」
「君うるさいよ。周りの迷惑でしょ?というか僕の迷惑なんだけど?」
「知らないですぅ〜。人を閉じこめるやつが悪いんですぅ〜」
僕は悪くない。能力の使用制限つけた上に寮に閉じこめるやつが悪い。あっ、そうだ!いいこと思いついた!
「事故でここぶっ壊しちゃったら外出れるよね?」
「自分で言って実行するのは事故じゃないよ故意だよ」
「えっ?恋?」
「恋じゃないよ故意だよ故意」
あ〜、あのなんだっけ?わざと何かをした時に使う『恋』か。やっぱり『恋』って分かりずらいね。
「そう言えば疑問に思ったんだけど、なんでそんなに恋やら愛やらくみちょーやらうるさいの?」
「いいじゃない!恋とか愛とかって特別な感じがあるし〜よく分からないとこも含めて素晴らしくない!?特別って憧れるでしょ!?」
「いらないけど。僕は特別なんて欲してないよ?」
「なんで!!??」
特別の何がいけないんだろ?特別ってなんかこう……特別じゃん、いいって事じゃん。愛なんて最高に特別なことじゃん!!
「……瑠奈先輩〜!!今度、愛を教えてあげる!!」
「いや、遠慮しとく。それに愛が分からないって言ってなかったっけ?」
「いや、厳密には分からないというよりは、みんな口を揃えて僕の愛は愛じゃないって言うから……愛が知りたいんだよ〜!!!」
「あ〜はいはい。というか余計君が言う愛を教えるは拒否するよ。あと、うるさい。さっきよりうるさい」
いいじゃないうるさくても。そうだ〜事故起こそ。早めに寮を破壊してくみちょーの所行って愛さなきゃ…!
「とにかく、静かに大人しく……何してるのかな?」
「えっ?実験」
秋夜は何処からか取り出した機械を弄り始めた。機械には液体が入っていて見るからに危なさそうな見た目をしている。
……これは止めた方がいいかな?
「えーと…君、ちょっとソレ辞めよっか」
「えっ?あっ、ミスった」
「はい?」
2人の体を閃光が包んだかと思うと、凄まじい浮遊感と爆音と共に、秋夜と瑠奈は扉から吹き飛ばされた。
〜天狐寮 311 天翔 乃空の部屋〜
「ねぇ……入学式の時にこの学園に泥を塗る行為はしないようにって言ったよね?」
「泥なんか塗ってません!!」
「どこをどう見たら寮を爆破する行為が泥を塗らない行為になると思ってるの!?」
「え〜と……」
「大体、どう考えたら爆破なんて思考になるの!?あと……(以下略)」
天翔乃空にこっぴどく叱られた秋夜は、怒られるのはもう懲り懲りだ、しばらく大人しくしてよう……と思ったとか思わなかったとか。