【隔離用】魔法少女タイラントシルフ 水族館 ②ルート【IF】
薄暗い水族館の一角で、お互いの吐息が触れ合うほど近づいてちさきは良の瞳を覗き込んだ。もうあと少し近づくだけで、後ろから少し押されるだけでお互いの口が触れ合ってしまうほどの距離。だが、突然のことに良は状況が呑み込めていないのか、怯えるでも照れるでもなく、キョトンとしていた。
そんな良の無垢な反応を見てちさきは、独占欲と僅かな嗜虐心を刺激され衝動的に口づけを交わした。
「んむぅ!? やっ――んんぅっ」
予想していなかったちさきの行動に、良は目を見開いてくぐもったような声を上げた。されどその声は言葉にならず、ちさきを制止しようと良が咄嗟に顔を逸らせば、逃がさないというように再び強引に唇を奪われる。
(女の人だから安全なんてこれでもまだ言える?)
突然のことに驚いたのか、あるいはちさきを拒絶しようとしているのか、良は非力な細腕でわずかな抵抗を見せるがちさきの力は小さな良よりもずっと強く、壁に押さえつけられた両手はびくともしない。
(ほら、やっぱり振りほどけない)
優しく押さえつけるように口づけしたままどれほどが経っただろうか。それほど長い時間ではないが、瞬くほど短くもない。しかし良には実際の時間とは異なる感覚だったのかもしれない。それまで弱弱しくも抵抗を見せていた良が、無駄な足掻きだと悟ったかのように力を緩めた。
良が抵抗をやめた理由は本人にしかわからないが、そんな風に諦めたらもっと酷いことをされてしまうんだとわからせるように、行為はエスカレートしていく。
「んっ……、やめ、ふんぅ、だめ、ですぅ……」
ぷっくりとした瑞々しい良の唇をこじ開けて、ちさきの舌が強引にねじ込まれた。薄い暗闇の中に、熱を孕んだ少女の吐息と小さな水音が溶けて消える。
途切れ途切れに拒絶の言葉を口にする良だがその声は甘く、とても本心から嫌がっているようには聞こえない。良自身甘えきった声をあげてしまったことに気づいているようで、羞恥に耐えるように頬を赤くして小さく肩を震わせている。
ここまでされてなお再度抵抗する様子を見せないことも合わさって、興奮を煽られたちさきは良の小さな口内を征服するように、唇の裏や歯茎、歯の裏側までたっぷりと蹂躙していく。
(良ちゃん、可愛い……。可愛いよ)
ちさきのそれは技術も何もない若さに任せた勢いだけの愛撫だったが、受け手もまた経験がなかったことが幸いしたのだろうか。ちさきの情熱的なフレンチキスに触発されるように、良もまたたどたどしい動きで自身の小さな舌を絡み合わせる。
(必死に私を求めてくれてる。誰にも渡したくない)
当初は息継ぎを細かく繰り返しながらだったその行為は、離れることを嫌がるように少しずつ口づけを交わしている時間が長くなっていく。そうして二人が最後に唇を重ねてからどれほどの時間が経っただろうか。全身を満たすような熱と興奮に呼吸を乱され、小鼻から供給される僅かな空気のみで意識を保っていた二人はとうとう限界を迎え、意識を朦朧とさせながらゆっくりと重ねた唇を離した。
絡み合った舌が解かれる瞬間、離れたくないというお互いの意思を示すかのように、かき混ぜられた唾液が糸をひいて二人の舌をつなぎ合わせる。
「はあ……♥ はぁ……♥」
年齢的な肺活量の違いと日常生活における運動量の差もあり、ちさきはある程度余裕があるのに対して良は息も絶え絶えと言った様子だった。拘束されていた良の腕はいつの間にか解放されており、無意識の内にちさきを抱きしめるように首へ回されていたが、それにすら気づいていない。
まだ夢見心地の中にいるのか、良は顔を紅潮させトロンと瞳を潤ませながら、続きをおねだりする様に小さな舌を懸命に突き出したまま、熱い息遣いでちさきを見上げている。
(っっ~~~~~!)
良が意識的にそうしているのか、頭が回っていない中で自然とそうなってしまったのかは定かではないが、ちさきにとってその仕草がクリティカルヒットだったことは間違いない。ちさきの興奮は言葉にならないほど大きく昂り、すでに限界であるように見える良を気遣う余裕もなくなった。指先で良のあごを少しだけ持ち上げ、もう一方の手で優しく頬を撫でながら突き出された小振りな舌を優しく唇で挟み込んだ。
「んっ♥んん♥んぁ♥」
包み込むように口内に含んだ良の舌を、ちさきは優しく吸い上げ、舐め回す。その一つ一つの責めがよほど心地良いのか、良はもどかしそうにもじもじと太ももをこすり合わせるが、その熱を発散させる方法がわからず、ビクビクと身体を震わせながら何度も何度も艶のある声をあげて身悶えた。
「好き、好きだよ、はあ、良ちゃん、はあ、愛してる」
「わた、んぅう♥ 私も♥ あっ♥ 好きです♥ はぁ、はぁ♥ あい、や♥ 愛して、はぁ♥、ます♥」
「良く聞こえなかったかな。もう一回言って?」
「い、いじわる♥ しないでんん♥ ください♥」
ちさきはついばむ様に口づけを繰り返しながら愛の言葉を囁き、良の言葉はあえて邪魔するようにキスを落とし何度も何度もその答えを口にさせる。良は恥ずかしがりながらもちさきを拒絶することが出来ず、息を荒げながら言われたとおりに、ちさきが満足するまで好きです、愛してますと答え続けた。
「良く言えました」
「っ♥」
先ほどまでの優しいキスから一転して、ちさきは良の後頭部に手を添え逃げられないぞと伝えるようにほんの少しだけ力を入れて貪るように激しく舌を絡め合わせた。そんなある種暴力的とも言えるようなキスを、良は身を委ねるように目を瞑って受け入れる。
「ん♥ ふぅ♥ んぅ♥」
当初よりもずっと甘えた吐息が漏れるが最早羞恥を感じている余裕もないのか、良はちさきから与えられる快楽に完全に支配されていた。
そしてそれはちさきもまた同様だった。自らの手で良を快楽の坩堝に落とし、その身体を、言葉を支配する嗜虐的な快感に振り回されている。
(ずっと、ずっとこうして、良ちゃんを離したくない)
この時が止まっていつまでも続いてほしいという倒錯的な願いをちさきは抱いたが、しかし他でもないちさき自身が原因で、二人のささやかな情事は幕を閉じることとなる。
「あ♥」
経験したことのない甘く刺激的な快楽を波のように止めどなく浴びせられ、良の身体はすでに限界を迎えつつあった。足腰に力が入らず、ちさきの首に回した腕で中半ぶら下がるように、背を壁にあずけて体勢を維持していた。
その微妙な均衡が乱れ、唐突に良はストンと床に崩れ落ちた。腰が抜けてしまったのだ。
「あっ♥やぁっ、いやです……。止まってぇ……!」
良が服の上から股の辺りを押さえるのと同時に、ショロロとささやかな水音が響いた。最初こそ気持ち良さそうな声をあげていた良だが、次第に状況が理解出来たのか焦りの混じった涙声に変わっていき、水音が収まる頃にはぐすぐすと泣き出してしまった。
当方の性癖を煮詰めて叩きつけただけの作品なので整合性とかは気にしないでいただけると幸いです。
ガイドラインは見た上で、ノクタ送りにはならないだろうと判断しましたが万が一警告を食らったら引っ越します。