「人生がイージーになる、暗記力が10倍になる裏技!(ガチ)2」
「人生がイージーになる、暗記力が10倍になる裏技!(ガチ)2」
セン「今日の結論! 暗記するときは、その、手に持っているペンを捨てろ!」
トウシ「また随分と乱暴な結論やな」
セン「ハッキリ言うが、暗記するときに『書く』という行為を取り入れているやつは、一部の例外を除いて、全員、成績が悪い!」
トウシ「わー、極論」
セン「狂気的な根性の持ち主で、腱鞘炎になるのも覚悟の上で、実際に、両手が腱鞘炎になっている……というぐらいのやつなら、『正しい方法で暗記しているヤツ』と渡し合うことも不可能じゃない。しかし、そんな無駄な根性を積まなくても、正しい方法を使えば、およそ『10分の1』の時間で同じ効果を得られる!」
シューリ「わー、『10分の1』で済むなんて、お得でちゅねぇ。そんな最高の『勉強教材』が今なら、たった350万円!」
「ぼろうとするんじゃねぇ! 金をとる気はねぇよ。まあ、この『暗記に関するチート術』は、数百万……いや、数億円に匹敵する情報だと思うがな。なんせ、リアルに『人生の難易度を変更できる情報』だからな」
などとうそぶいてから、
「暗記するときに、『書く』という行為は絶対にやめた方がいい。前回同様、ギルガメッシュ叙事詩を例にするが――『ギルガメッシュ叙事詩 世界最古の文学』――これを実際に書こうと思ったら何秒かかるか……トウシ、ちょっとはかってくれ」
「ちょっとまて。ストップウォッチを用意する。あった、あった……はい……よーい、すたーと」
セン、筆記中……
……
……
……
「――はい、OK。何秒?」
「23秒87」
「この通り、クッソ時間がかかる。だが、口に出すだけなら……トウシ、言うから、測って」
「……スタート」
「ギルガメッシュ叙事詩、世界最古の文学……何秒?」
「1秒66」
「この通り、10倍の差がある。ハッキリ言うが、書くのと、口にするのは、記憶に残る率は『ほぼ同じ』だ。もちろん『一回の定着率』だけで見れば、書く方が、間違いなく効率は上。だが、しかし、コストパフォーマンスを考えると、明らかに書く方が下だ」
「コスパを言い出したら、そりゃ、当然、口に出す方が上やわな」
「これは、あくまでも、俺の体感だが……『3回口にする』のと『1回書く』のは、ほぼ同じ……いや、3回口にする方が、定着率としては上だな」
「ま、実際のところ、暗記は回数が全てやから、定着率なら、回数を重ねた方が圧倒的に上やな」
「仮に、その『三回口にする』というのが、『一回言って15分置く、一回言って15分を置く、一回言って15分置く』という流れを経ての3回だった場合、定着率で言うと、30倍効率的と言っても過言ではない」
「30倍て……また、えらい盛ったな」
「この辺の倍率は、あくまでも体感でしかない……しかし、俺は、この暗記法を、ずーっとやってきた。一回や二回の体験談を語っているんじゃない。毎日、毎日、毎日、毎日、頭がおかしくなるくらい、必死になって、何年も、何年も、この暗記法を使い続けてきた。その上で、言っている。その『体感』をナメるなよ」
と、そこでシューリが、あくびをかみ殺しながら、
「別に誰も、センのことをナメてまちぇんけど?」
「いや、お前は俺のことを、確実にナメているだろ」
「ど……どうして、わかったんでちゅか? 今まで、あれだけ丁寧に隠してきたのに……っ」
「あれで、隠せていると思っていたのか……そっちの方に驚きだ」
深いタメ息をはさんでから、
「とにかく! 時間をかけずに、回数を重ねること! 暗記する上では、それが最も重要! やり方は、見て、口にだして、聞け! 書くのは論外! 時間がかかりすぎる!」
「ところで、最初から思っとったんやけど、これ、最初から最後まで、ずっと暗記の方法ばっかり言うていく感じ? もっと、『理解力を上げる勉強の方法』とかも言うていった方がええんちゃう?」
「またアホがアホなことを……」
「ワシの方が成績上やけどな」
「うっさぁああい!」
センは、バチギレしてから、
「いいか! 『勉強』に対して誤解をしている連中、全員、耳をかっぽじれ! 勉強とは暗記だ! 少なくとも、『受験』が終わるまでは暗記だ! 数学だって、公式の暗記だ! まあ数学に関しては、公式暗記だけじゃなく『習得(技術を使えるようにすること)』が必要になってくるが、それ以外は全て暗記だ! 暗記をすれば、基礎が固まる! 基礎が固まってから教科書を読めば、『理解』に届くようになる! 暗記した内容が頭の中で繋がって、断片情報のシナプス同士が複雑に結合し、一つの線になった時! その時こそが『本当の理解』の瞬間! 『理解』だけを求めようとしても、たいていは『理解できた気』になっただけで、数日後には『何を理解したのか』を忘れている! しかし、死ぬほど暗記を繰り返してつくった基礎の器は! 決して、消えてなくならない!」
今回の総括!!
『受験が終わるまで、勉強とは詰め込み(数学だけ別)』!
『とにかくペンをすてろ。時間の無駄だ』!