「人生がイージーになる、暗記力が10倍になる裏技!(ガチ)1」
「人生のモードがイージーになる、暗記力が10倍になる裏技!(ガチ)~学校のテストで点が取れない方に送る。あんたは頭が悪いんじゃない。セーブのやり方を知らないだけだ~」
・出演者
『セン』
「リーダー」「根性の鬼」「厨二」「シューリを愛している」
『シューリ』
「赤ちゃん言葉」「女神」「性悪」「センを愛している」
『トウシ』
「関西弁」「天才」「聞き役」「彼女持ち」
セン「結論から言うぞ! 暗記は時間じゃない! 回数だ!」
トウシ「はぁ? 回数もクソも、見れば覚えられるやろ」
セン「そこの天才は黙って寝てろ! 大半の人間は、お前みたいに、『人生最初からイージーモード』じゃねぇんだよ! 『凡人の嘆き』を黙って聞いてろ、ハゲ、ごらぁあ!」
トウシ「ハゲてへんわい。寝ぐせが乱れ尖るほど、がっつり、フサフサやろがい」
シューリ「そうでちゅよ。トウシは、センと違ってフサフサでちゅ!」
セン「待て、こら、シューリ。俺も、普通に生えてるだろうが! ――てか、話が進まねぇから、お前ら、ちょっとマジで黙れ!」
センは、閑話休題とばかりに、
コホンとセキを挟んで、
セン「そうだな……とりあえず『ギルガメッシュ叙事詩』を例にして、話を進めていこう。ギルガメッシュ叙事詩は、世界最古の文学。頭のいい奴は、一回聞いただけで、これを覚えてしまう。ここにいる二人なんかは、そういう変態だ。頭の出来が普通のヤツとは違う。覚えられる速度と量がケタ違い。『こういうやつら』を軸に世界を捉えるのは絶対NG」
センは、そこで、一呼吸はさみ、
セン「普通の人間は、ギルガメッシュ叙事詩のことを授業で耳にしても、明日には忘れている。もっといえば『15分後』には忘れている。エビングハウスの忘却曲線でググれば、その辺の理屈が理解できるだろう。というか、体感でわかるだろ? 休み時間が過ぎたら、前の時間にならったことなんて忘れているだろ? もちろん興味があることはべつだぞ? 好きな女の名前、ゲームの攻略法、そういうのは、一回聞いただけでも忘れない。そういう『強烈な印象を伴う興味の対象』ではなく、『英単語』であったり、『世界史の年号』であったり、そういう、『ぶっちゃけ、どうでもいいこと』を覚えていられるかどうかが問題なんだ」
「どうでもいいことって、本来なら、覚えなくていいんでちゅけどねぇ」
「実際問題、まったくもって、その通りだ。受験に必要な知識の大半はゴミだ。だが、それでもいいんだ。受験で『試験官が問いたい』のは『使える知識の量』ではなく『どれだけ努力をしてきたか』の一点だからな」
――『受験とは、我慢比べ選手権である』。
この真理を理解していれば、教師に、
『数学なんて人生において何の役に立つんですか?』
などと、愚かな質問をしなくすむ。
「簡単に言おう。『ギルガメッシュ叙事詩が世界最古の文学である』という用語を暗記したいのであれば――『一日一回、口に出せ』――」
「一回でええんやったら、ワシが言うた『見れば覚える』方法と変わらんやないか」
「いいぞ、トウシ。事前に打ち合わせをしているから、実は、お前も、この方法を知っているのに、台本にのっとって、ちゃんと、知らないフリをしてくれているな! 助かるぞ、トウシ!」
「やかましわ、ボケ! バラすな! 恥ずいやろが!」
軽くかけあいをしたのちに、
センは、あらためて、
「――大事なのは『一日一回、口に出す』を、100日連続で行うことだ」
「長いなぁ。100日て……そんなにやってられへんで。こっちもヒマちゃうねん」
「ちなみに、これは、『受験』をベースにした日数だ。中間や期末の試験を乗り越えたいだけなら『一週間』でいい。ただし、その場合、一日10回~60回ほど口に出す必要がある」
「60回も口に出すんかい。そうなったら、多すぎるやろ。どんだけ時間かかんねん」
「ここで、さらにポイントとなるのは、一回見るのにかける時間は『コンマ数秒~2秒以内』に抑えること。プラス、他の用語もまとめて5~10個ほど一緒に、60回見ること」
「……おっとぉ、ここは大事そうな話でちゅよぉ。みんな、ちゃんと聞いているかなぁ? そこの君! PCやスマホなんて見てないで、ちゃんと話を聞きなちゃい!」
「これを読んでいる人の大半は、スマホかPCで見ているだろうが! ……とか、面倒なツッコミさせるんじゃねぇよ、シューリ。お前、相槌がへたすぎるぞ……ヘタというか、ジャマだ……」
ため息を一つはさんでから、
「……『2秒以内に口に出す』……これなら、60回でも、120秒……2分で終わる。10項目分まとめてやっても20分だ。仮に、一日2時間勉強する予定なら、60の単語を覚えることができる。重要語句を60単語も覚えていれば、中間テストで合格ラインを超えるのは余裕だ。中間テストでは『重要語句』を絶対に『合格点数分』は出してくるからな。というか『そうなっていないテスト』は、テストとしておかしい。どうでもいい語句ばかりが問われているテストは、テストじゃなく、ただのいやがらせだから、問題用紙を確保して、教育委員会に電話しろ」
「でも、一教科に2時間必要となると、複数教科の対応が厳しいんとちゃう? 仮に8教科分に対応しようと思ったら、一日16時間が必要になるで」
「60回見るのは、『最初の一日』だけだ。翌日は、20回程度でいい。その翌日は10回程度でも大丈夫だ。その段階で、すでに、覚えていると思うが、まだ覚えていなかったら、また次の日も10回、口に出せ。一週間かけて、合計『120回』も口に出した単語なら確実に覚えている。人間の脳は、そういう風に出来ている」
そこで、センは、声量を上げて、
「ここで重要なのは、『一日に120回口に出す』ではダメだということ! 『毎日、一定数以上』を口に出すというのが重要! それが最初に言った『時間ではなく回数だ』という点! 一日に5時間、穴があくほど、その用語を見続けても、明後日には忘れている!」
最低でも、毎日、1回。
それが重要。
「一週間で120回口に出した項目なら、その後、一日一回口にするだけで永遠に維持できる。そうなれば、『一つの単語』に対して必要な復習時間は『一日最長2秒』でよくなってくる。勉強というのは、『一日2秒を使うだけで記憶を維持できる項目』を増やしていく作業だ。『天才』以外で『勉強が出来るヤツ』というのは、全員、この真理が脳髄に叩き込まれている!」
今回の総括!!
『一日一回、口に出せ』!
『一日2秒』で維持できる記憶を増やすのが勉強!
――暗記力が10倍になる裏技は、全部で6話分!
次回からは、『具体的な方法』や、
『効率をブーストさせる方法』を記していく予定!
「……ところで、セン……これって、異世界転生小説か? ワシらが、しゃべっとるだけなんやけど……」
「何を愚かなことを……やれやれ。いいか、トウシ。俺は『元日本人だが、100回転生した結果、神の領域にたどり着いた』という経歴を持つ奇抜な男だぞ。そんな俺が主役の作品ってことは、当然、異世界転生小説になるだろう」
「……んー、そうなんのかなぁ……」