その28 「文化の違い」について
実際に小説の翻訳を進めていくと実感するのが、日本語と英語の「文化の違い」です。
日本語ならでは、あるいは英語圏ならではの文化を背景にした表現が数多くあり、日本語の持つ微妙なニュアンスを、英語で伝える事は簡単ではありません。
ましてや英語の持つ微妙なニュアンスを英語初心者が理解し、使いこなす事は到底不可能でしょう。
これは完全に英語上級者でないと到達出来ない、遥かなる高みの世界になります。
例えば日本語では「ギャル」という僅か3文字で、パッとイメージが浮かんできますが、これを英語で伝えようとしたら大変です。
ギャル文化は日本独自のものであり、もし英訳すれば、非常に説明的な表現になる事は避けられません。
そのため、小説の中で無理に「ギャル」を訳した場合、文書のテンポが台無しになる恐れがあります。
つまり小説の翻訳の場合は特に、内容を100%英訳しようと思わない事が大切です。
例えファンタジー小説であっても、一般的に日本人作家は無意識の内に日本文化をベースに文書を書いており、小説を英訳しようとした時に初めて、それが露呈します。
日本文化がベースになっているという意味では、私自身も例外ではないため、個人的には日本語小説のニュアンスの80%が伝われば上出来と考えて英文小説を執筆しています。
自分の作品であれば、後でいくらでも翻訳を修正する事が出来ます。
日本語と英語の文化の違いと自分の英語力を冷静に分析し、ニュアンスの再現については、ある程度見切って、たとえ不完全でも、とにかく英文を完成させる事を意識して下さい。
次回はいよいよ最終回です。




