猪な令嬢と婚約破棄!
「ボア・ファンタリス・山中!お前との婚約をバオシン・モーブ・ショアリンの名において破棄する‼︎」
そのような馬鹿げた宣言が成されたのは、王国貴族たちが集う王城での豪華なパーティー会場。
婚約破棄したのはボンクラと噂されるこの国の第2王子、それに対して婚約破棄されたのが辺境伯山中の一人娘だ。
この国での辺境伯というのはその軍事力を背景に侯爵(ムッチャ偉い)程度の権力を握っている。特に辺境伯山中といえば西部からの蛮族(馬に乗ったモヒカン頭や何故か全裸の露出狂どものことだ)を退け続けているとして、辺境伯の中でも一目置かれている存在だ。
その愛娘であるファンタリスに突きつけられた婚約破棄。
当然のように会場の空気は凍りつく。カチンカチンに凍りつく。
あるものは冷や汗をタラタラとかきながら、またあるものは好奇な目で、モーブ王子とファンタリスを見つめる貴族達。
だが、何処の世にもその空気に気づかない愚か者はいるようでして………
「お前のミリアへの数々の嫌がらせ、私が気づいt『婚約破棄破棄だな、承った‼︎』」
そう、モーブ王子とファンタリスだ!
そういうが否や出口に突進するファンタリス!
だが、流石は王城と言うべきか。空気に呑まれなかった熟練の衛兵がファンタリスを抑えつけようとする。
しかし、ただの衛兵数十人如きでファンタリスを抑えられるのか、いや出来るわけがない‼︎
フワリと浮いた衛兵の体が後ろの衛兵たちにぶつかる。
ある者は地面とアツいキスをし、またある者は束の間の空中飛行を味わった。
ドカンという音と共に吹き飛ぶ扉。ポカンとしているモーブ王子 (ただのモブ)を置いてきぼりに、扉があった場所を颯爽と歩き去るゴリr……ファンタリス!
さあ、山中さんの戦いはこれからだ‼︎
この後なんやかんやあって、王国は滅びた。