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8 悲しい日


クラスは居心地が悪い。

話しかけてくれる人もない。

話しかけても、返事もしてくれない。

こそこそと、「ごきぶりの方……」って声がする。

入学式で、「ごきぶりの方……」って言われた女だもんなあ。

関わりたくないよね。


――泣きそう。

前世思い出してよかった。

精神年齢おばちゃんでなかったら、十代少女のままなら、きつかったな。


かあさまのいる家に帰りたいな。

かあさまのファンクラブのおじさま達も優しかったし、近所のおばさん達も可愛がってくれた。

近所のちびっ子も生意気だけど、かわいい。

贅沢しなければ、毎日なんとかやっていける。

でもね、蓄える余裕はない。だから、何かあったら、即破綻するんだよ。

私か、かあさまが大病したりケガしたら、稼げなくなって暮らせなくなるんだ。


うちの店の常連さんで、冒険者のおじさんがいた。ある日おじさんは、モンスター退治で片足を無くした。

あっという間に暮らせなくなって、町で物乞いをしていた。

優しいおじさんだった。

かあさまと時々ご飯を差し入れたけど、それもつらかったのか、いつの間にか町からいなくなった。

大好きなおじさんだったけど、何もできなかった。


私が魔法がちゃんと使えるようになったら、かあさま楽にしてあげられるし、

お金も稼げる。蓄えもできる。

白魔法が使えれば、ケガも治せる。

困ってる人に、少しは手助けできる。


3年だし。

頑張ろう。


今日はクラスの誰とも、ちゃんと話せなかったよ。

でもね、魔法科の校舎を出るとカインが待ってた。

カインは何も聞かなかった。

帰り道、だまって二人で歩いた。夕日が赤くにじんだ。


 

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