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52 ヤヒクの町へ

胃カメラ、疲れた~。



まずは、ドライオン山脈に一番近い町ヒヤクに魔方陣で移動した。

ドライオン山脈ふもとの小さな町だ。

前回、調査隊が移転魔方陣を設置しておいたのだ。


聞いてはいたが、町に活気が無い。

商人の行き来が少なくなり流通が滞ってることもあるが、モンスターの被害で農作業などの日常生活にも支障が出てるようだ。


「前より、人がいない」とマルチーノさんがぼそっと呟く。

確かに町はガランとして人通りがない。


早速、ヤヒクの町長に状況を聞きにいく。

この町では、モンスターの被害が多くなって女子供を別の町に避難させるものが多くなったそうだ。

ああ本当にこの問題を解決しないと、国中、大変な事になるのだと改めて実感する。



この先には、ナトという小さな村があるそうだ。

モンスターの被害が大きくなって村人が避難したので、無人の村だ。

今から進むと夜になるので、今日は町に一泊することになった。


「あの……、時間があるのなら、町に怪我人がいれば治療したいのですが」

ハルカ優しい子だ。

町長にお願いして町民に呼びかけてもらった。

モンスターのせいで怪我をした人がたくさんいた。

モンスターに襲われ片足になった人、骨折がちゃんと治療されずに曲がったままの腕、平和な日本ではなかなか出会うことのないものだった。

私とハルカで手分けして治療した。

ハルカ涙を溜めながら治療していた。医療関係者じゃない普通の日本人は辛い光景だ。

そんな中で、ハルカが発動したヒールが白く輝いた。

無くなった足が光に包まれだんだんと成長する、曲がった腕がまっすぐにつながる。

「奇蹟だ!」「聖女様だ!」

ハルカの周りを取り囲んだ町民が泣き出した。

「そ、そんなことないですよ!」とハルカは否定したが騒ぎはなかなか収まらなかった。


「頑張ったな」

疲れて帰るハルカの頭を騎士がポフポフした。


カインがそれを見て、私の頭の上に手をあげた。

「ヤメロー。カインにポフポフされたくないよう。」というと、カインはそのまま私の頭をチョップした。


夜、宿屋で全員集合し、前回の調査の歳、遺跡に行くまでに遭遇したモンスターのレクチャがあった。

モンスターの特徴と注意点、攻略法などを聞く。

私もロベリア先生にもらったモンスター別治療大全を開き、負傷した時の応急手当を説明する。


夜遅くトイレに起きると、居間に明かりが付いていた。

気配を消してドアの影からこっそり覗く。家政婦さんは見た!だw

ハルカが、まだ仕事をしているマルチーノさんにお茶を入れていた。

報告書とか会計とかやってるのだろうか?

「きちんとお仕事されていて、偉いですね。無理しないでくださいね」とねぎらうと、

マルチーノさんが「仕事ですから」と冷たく答えてたけど、どう見ても嬉しそうだった。


夜寝るのは、私とハルカの女の子二人で一室使わせてもらった。


琥珀に頼んで結界を張ってもらう。

( いいかげん、おぼえろ! )と、怒られた。


部屋に戻ってきたハルカに、注意する。

「ハルカが町の人を治したいと頑張ったのは、良いことだと思う。でもね、ハルカ日本に帰りたいなら、すごい魔法は使っちゃダメ。すごい魔法が使えると分かったら、国が利用したいと帰してもらえない可能性があるよ」

ハルカがハッとした顔をする。


「町民はしょうがないけど、メンバーには口止めしとくね」


疲れてそうなハルカにお茶を入れる。

熱すぎないかちょっと温度を確かめる。

それを見てハルカが、「なつかしいな、知ってるひともそれやってました」という。


**



翌朝、この先、馬は使えないそうで徒歩でナト村に向う。

町民が総出で見送ってくれた。恥ずかしかった。

万歳三唱は、やめて欲しい……



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