5 学園へ
この小説をブックマークしてくれた5人に捧げますw
それから、しばらく経っても学園へのお誘いはない。
「お前、王立学園に行って、イケメン達と恋に落ちるんだよな?」
と、によによとカインが言う。
うるへー
たしか、主人公は14歳の時に悪漢に絡まれた母を助けようとして、魔法が暴発したのをきっかけに魔力を持ってるのが分かって、学園に入学することになる。
――って、もしかして、この前のセクハラおやじ事件????
魔力じゃなくて、頭突き選択したヒロインなんて……。
すでに、フラグ折っちゃったかしら???
母と2人の今の暮らしも悪くない。
学園ライフは魅力的だけど、ドロドロはめんどくさいから、このままで良いかなと思う。
ここで食堂をやって、年頃になっていいひとができれば結婚して、一緒に食堂をやっても良いし、
結婚できなければ、気ままな母娘2人暮らしも快適だ。
今朝はよい天気だ。
「これから買い出しにいてくるから、店の掃除よろしくね~。」
と、ひらひらと手を振ると、母は元気に買い出しに行った。
掃きだめに鶴の母が買い出しに行くと、お店のおじちゃんたちがおまけをつける。
だから、買い出しは母専門だ。
ピチピチ十代美少女?の私が言ってもおじちゃんたちは、びた一文まけない。なぜだ。
さあて、掃除しますか
前世、主婦だったから家事スキルは高いわよ。
いすをテーブルにのせて床を掃いていたら、
部屋の角を黒いアレが、疾走するのが目の端に見えた。
例の虫です。1匹見逃すと、30匹連れてやってくるというモンスターのようなやつです。
こわいですねえ。
食堂に出てはいけない虫、ナンバーワンのやつです。
見逃すと我が家の営業活動に、支障をきたします。
もちろん、バトルです。天誅です。おばちゃん、ゴキブリぐらいじゃビビリません。
聖なる剣もとい、箒を掲げて対戦です。
やつはすばやく逃げ込みましたが、部屋の角です。
ふふっふ、バカなヤツめ! 作戦通りです。逃げ道はありません。
箒を振りかざして、打つべし!打つべし!打つべし! です。
が、油断してました。追い詰められたやつは、イチかバチかの反撃にでました。
なんと、私の顔めがけて飛んできました。
火の玉特攻隊、捨て身の体当たり攻撃です。
さすがに、精神年齢おばちゃんでも顔に向かってはむりですぅ。
やつが風に乗って、私のほほをかすめます……
「いやああああああああ!!!!!!!!!」
そのとき、私の体から何かがほとばしって、風が舞い上がる。
つむじ風にのって、舞い上がるやつと、テーブルといす。
叫び声を聞いて、近所の皆さんが駆けつけてくる。
「エリカちゃん、だいじょうぶかい?」「なにがあった――?」
舞い上がる机といすと、やつと、泣きべその私をみて目を丸くしています。
「ゴキブリが、顔に向かってとんだ……」と、言ったら、
カインに、
「人騒がせな……」と、頭をぽこんとたたかれました。
げせぬ。
**
それから、私に魔力があるのが分かって、なんやかんやで、次の春から魔法学園に入学することになりました。
この国では、魔法は皆が使えない。
魔法を使える者は、王族や上位貴族に多いが、たまに下位貴族や平民の中にも現れる。
魔法はとても便利だが扱いが難しいので、魔法を使える者はこの国の学園にある魔法科で、キチンと学ぶ必要がある。
私みたいに魔法を暴走させると危険なので、強制的に学園に入れられるのです。
ただ、ゴキブリがきっかけに、魔力を持ってるのが分かったことは、学校で絶対に秘密にしよう思います。
乙女の秘密です。