48 エンバー先輩と
強化訓練2日めは、エンバー先輩だった。
エンバー先輩はいつもニコニコしている穏やかな方だ。
双子と違って、紳士なエンバー先輩なのでほっとする。
日本人に双子のチャラさはついて行けない。奥ゆかしい民族なのだ。
エンバー先輩は会うなりこう言った。
「エリカ、私が教えた氷魔法は、氷菓子を作るために覚えたんだって? 」
「ひゃ~、それをどこで聞いたんですか? 」
エンバー先輩は、笑ってハルカを見た。
ハルカ、ばらしてる。
「エンバー先輩、イザベラ様だけには言わないで下さい」
「どうしようかな?」いたずらぽく笑った。
「じゃあ、今日は真面目に氷魔法と水魔法覚えてね」
「はい。頑張ります! 」
まずは初歩の水魔法からだ。
「ウォーターボール!」
これは、私も楽々できる。
「モンスターの足止めに有効な氷魔法を覚えてね」
これがけっこう難しい。地面から凍らせて動けないようにするのって、魔力のコントロールが難しい。
ハルカはすぐにコツをつかんだ。バリバリと地面から氷が走る。やっぱ、主人公ってすごーい。
魔法が成功してハルカが、エンバー先輩に向かって嬉しそうに笑う。
エンバー先輩が赤くなる。
かわいい子の笑顔って、破壊力あるよね。
私も氷ならいくらでも出るんだけど、足止めはなかなか難しい。
ちょっと思いついて、空に向かって杖を振る。
チラチラと雪が舞い落ちてきた。
高いところで水蒸気を小さく凍らせてみた。
真夏の雪だ。
チラチラと舞い散る雪を見て、ハルカが表情を曇らせる。
「召喚された日も雪が舞ってたんですよね……」
エンバー先輩が、うつむくハルカの肩を後ろからそっと抱きしめる。
「私では支えになれませんか? 」
――乙女ゲームだ!
私ではなかった展開だ!
48話にしてやっと、乙女ゲーム的展開に!(笑)




