41 夏休みのバイト
すっかり影渡りがブームのエリカです。
影に入る、ちょこっと手を出す。にゃんこが跳びかかる。
別の影から手を出す。にゃんこが跳びかかる。
リアルモグラ叩きです。にゃんこ、大受けです。
レイアス先生から、空飛ぶお手紙が来た。
手紙が魔法で鳥になってやってくる。ファンタジーだ。
往復の馬車代を出すので至急学園へ来いとのこと。
カインも連れてきて良いと。うちの経済状況とカインの行動が読まれてる。
カインに言うと、やっぱり付いてくると言う。過保護だ。オカンだ。
まあ森にも行けなくなったし、暇なのだろう。
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馬車で半日かけて学園に着くと、レイアス先生が待っていた。
「エリカに召喚魔法を手伝って欲しいんだ。もちろん、アルバイト代は出すよ」とウィンクした。
あやしい。
「先生、それイモムシになる危険があるヤツですか?」
「う~ん。どうかな? これから先は国家機密なので二人に宣誓の魔術をかけるけど良いかな?」
わぁ、国家機密知りたくない!
おばさんは、平凡に平和に生きたいんだ!
返事を聞く前に、先生がすかさず魔術をかける。否応なしだ。かけて良いかと聞いたのは何だったんだ。
ともかくこれで秘密を話せなくなるらしい。
「演習の日に魔力の衝撃波がきたの覚えてる? 国も調査に乗り出したんだ。
調査によるとどうやら音の発生源は、王都のはるか北西にあるドライオン山脈当たりと推測された。
調査隊は、ドライオン山脈で発生源とみられる遺跡を発見したんだけど、門に結界がなされていて入れなかったんだ。
門には謎の文字が書かれていた。魔法省や学者に確認したが解読できなくてね、
古くからいる精霊や幻獣なら解読できるんじゃないかという話になったんだ。
それでどうせなら、文字を解読できて結界を破れるものを召喚しようってね」
レイアス先生はニコニコしながら私を見た。
「召喚するのに全属性が使えて魔力が多い者が欲しい。エリカ協力してね」と。
「えええ、それってイモムシになる危険があるヤツですか?」
「う~ん。どんな者が召喚されるか分からないから、どんな危険があるか分からないね
今回は国主催だから、楽団や踊り子も用意しとくから」
「お断りします」
レイアス先生が真剣な顔する。イケメンの真剣な顔こわい。
「このままモンスターが活性化すると、普通の人々の暮らしにも影響が出るよ。
すでに北西部では、村を追われたり、商業活動、農作業に支障が出てるよ。」
うーん。町の皆やうちのかあさまが困ることになるのは、困る。
でもなあ、イモムシの危険もなあ……
「バイト代は、これくらい出すけどどう?」
「やります!」
カインが頭を抱えている。いや、皆が困ると困るしねえ……
遊ぶ金ほしさの犯行…w