37 夏休みの友
前世も合わせると結構な年齢ですが、初めてナイスな呪いがある事に気づいたエリカです。
夏休みになって、涼しい午前中は森に狩猟採集へ、暑くなった午後は食堂の手伝いをする健康的な生活を送っております。
鑑定、めっちゃ便利です。
サクサク薬草採集しております。
もちろん薬草全部は取らず半分残す、自然に優しいエリカです。
鑑定ねえ、すごい便利なんですよ。奥さん!
たとえば、八百屋。
キャベツ:食べ頃 ランク:A
キャベツ:虫が隠れてる ランク:C
キャベツ:傷んでる ランク:E
って感じで、もう傷んでる野菜を買っちゃうことはありませんぜ。
スイカ:甘い ランク:B
スイカ:あんまり甘くない ランク:D
スイカ:すごく甘い ランク:A
果物の熟れぐあいも、見ただけで分かります。
習って良かったスキル、ナンバー1です!
主婦にオススメスキル、ナンバー1です!
ただね、うっかり人を見ちゃうと困るときがあるんです。
八百屋のおっちゃん:38歳 商人 頭部偽装 ランク:C
ああ、知らなくていい八百屋のおじさんの秘密を知ってしましました。
まあ、バレバレでしたけどね。
今日は薬草採集で貯めたお金で鍛冶屋に来てます。
鍛冶屋のおじさんは、母のファンクラブの一員なのでいろいろ無理を聞いてくれます。
注文の品を取りに来ました。
「エリカ、これ何に使うんだ?」
「えへへ、おじさん、今日うちで披露するね。来てね」
注文の品を受け取るとうちに帰る。
森で薬草採集の傍ら摘んだラズベリー、クランベリー、カシス、すもも、山葡萄をざっと洗う。
それぞれ砂糖を入れて鍋でコトコト煮る。ジャムになる前に火を止めてシロップを作る。
紅茶を濃く煮出して砂糖多目にいれる。
シロップができたところで、魔法で氷を出します。
取りいだしましたる注文の品に、氷セット! もう分かりますね。
注文の品はかき氷器でした!
前世、娘たちによく作ってやりました。
元気にしてるのかな? ちょっと切なくなります。
別れたときは二人とも大学生だけど成人してたし、母に似ずしっかりした子だったので、なんとか上手くやってるでしょう。
母は異世界から、君たちの幸せを祈ってるぜ。
ガリガリと氷をかく。けっこう力がいる。メイドインjapanじゃないもんな。
よし! うちの力担当に任せよう。カインにやってもらう。
「なんだ、これは?」
「ふふふ、夏の味覚さ。すきなシロップをかけたまえ」
「冷た! うまっ! 」カインお前、食レポできないタイプな。
「本当、冷たくて氷がふんわりして甘くて美味しいわね」
かあさまにも好評でした。
うちの食堂の常連のおじさん達には、かき氷より氷で冷たく冷やしたお酒が大好評でした。
その後、かき氷は町で若者に大人気となり、私の小遣いと我が家の生活費に大いに貢献するのであった。