31 特訓
演習の後片付け休みも明け、学園も通常運転になりました。
カインもモンスターとの戦いで思うところがあったようで、午後は、剣の練習をするから、迎えに来れないと言ってきた。
おう! 頑張れ若人! 男の子はやっぱり強くなりたいんだなと、感心する。
「迎えが無くても入学してかなり経つから、もう迷わないよっ!」と言ったら、
「いやいやエリカ、お前だけは、自分を過信してはいかん! 迷ったら人に聞け! ぼーっと歩くな。寄り道はするな」
と、オカンようなことを言ってきた。15歳でオカン……
私はというと、イザベラ様に拉致されて放課後は、魔法の練習に明け暮れている。
イザベラ様、カインを治そうと狂ったようにつえを振り倒れた私が、死んだかと怖かったらしい。
(狂ったようにつえを振り回す女、怖いよね。 ごめん、イザベラ様。)
イザベラ様、褒めて育てる優しい指導から、鬼畜のスパルタ指導へと指導方針を転換した。
(ひゃー)
今日は演習場で、雷魔法の特訓だ。
何を隠そう、雷魔法ダメダメだ。
雷魔法ってモンスター退治にしか使えそうにないから、モチベーションが上がらないのよね。
将来、町の治療院だから、モンスターは退治しないと思うんだ。
ま、火とか水とか風とか、日常生活で使える物は頑張ろう!と思えるんだけど。
前世、日本のおばちゃんには、モンスター退治は荷が重い。G退治ぐらいが、せいぜいだ。
いや、G退治ですら、魔力を暴走させた女だ。
おばちゃん、戦闘狂じゃないからさ、モンスター退治えぐいし、怖いし。
おかげで、私の雷魔法は静電気並みだ。何か、パチッてしたよ?って感じ。
何度やってもパチッとしかしない電撃に、だんだんと、イザベラ様の眉が上がってきた。
「エリカ、ここにお座りになって」
きゃー、ついに、お座りになってが出ました。イザベラ様の目が怖い。
怖ず怖ずと、演習場のイスに座るとイザベラ様の説経が始まった。
「エリカ、2学期も演習があるのよ。また、モンスターに襲われたら、どうするのかしら?
卒業しても、森や荒野を行く機会があるかもしれないわね。
複数のモンスターに襲われたら、ファイヤーボールじゃ間に合わないかもよ? その時、雷魔法が使えると一斉にスタンできるわ。エリカ、使えるカードは一枚でも多い方が良いのよ」
「貴女に自分の力がないばっかりに、大事な人を目の前で失うような目に遭って欲しくないのよ」
と、そっと目をふせた。
イザベラ様、過去に何かあったのだろうか?
イザベラ様の真剣な思いに、不真面目だった自分が恥ずかしくなった……