30 現状認識しましょう2
ともかく、あの大変なことになった演習から全員ぶじ帰還した。
あの音と衝撃波に驚いてモンスターが暴走したのだろうと、言うことになった。
そもそも、あの音と衝撃波は何だったのだろう。
ゲームでは、魔力の衝撃波なんてなかったのに。
学校が、演習の後始末で休みになったので、
剣の練習がしたいというカインを捕まえて、つらつらと無駄話をしている。
悩んだときは、人と話すと整理がつくと言うし。
カインは素振りをしながら、話を聞いている。
落ち着いて話は聞けないらしい。
「お前、小型から中型5、6匹のモンスターに襲われるって、言ってたよな? 規模が違うぞ? 」
「そもそも、お前、学園生活を送りながらイケメン達と恋に落ちるって言ってたけど、イケメンから口説かれたりしたか?」
と、カインが痛いとこを突く。
「してない…… 」
イケメンの先生につえを作る手伝いしてもらったり、イケメンに道案内してもらったが、全く口説かれたりしてない。
乙女ゲーム的なキラキラした話はない。
カインが嬉しそうなのが腹が立つ。
「お前の勘違いなんじゃないか? 」
「そんな気もする。」
考えてみればイケメンに口説かれたりしてないし、演習でモンスターの暴走なんてなかった。
魔力の暴走で、学園に入学って所は合ってるんだけど、他はちがう。
頭を打った私の妄想なのかしら?
でも、前世の記憶はしっかり有るんだよ。
ゲームに似てるけど、違う世界に生まれたってこと?
**
先日、国内でドンと鈍い音が響き、そのあと、魔力の衝撃波がきた。
小鳥たちが何かに脅えるように一斉に飛び立ち、森の動物たちが逃げ出していく。
その後、モンスターの暴走が起きた。
あちこちでモンスターによる被害が起きた。
モンスターが凶暴化してるという話もあり、国も調査に乗り出した。
内務局主任、マルチーノが担当となる。
まず、マルチーノは、騎士隊に連絡し、各支部でどちらの方向から音がしたかを報告させた。
それらの報告を元に線を引くと、どうやら音の発生源は、王都のはるか北西にあるドライオン山脈当たりと推測された。
今回の鈍い音が響き、そのあと魔力の衝撃波。
現時点で考えられる原因としては、火山の噴火などの災害、隕石の落下、災害級のモンスターの発生、帝王クラスの召喚獣の召喚、人為的な魔法事故、などだろうか?
調査隊のメンバーは、魔法省、騎士隊、学者、役人で構成された。
一行は、ドライオン山脈目指して旅立った。