29 お見舞い
カインの治療で、ヒールを暴発したエリカです。
魔力暴発させて魔力切れして、一晩、ぶっ倒れました。
違う意味で、朝ちゅんでした。
目を覚ますと保健室で、心配そうなカインが顔をのぞいていた。
「カイン、足は? 」
「大丈夫、お前が治した。ありがとな。ちゃんと歩けるぞ」
「よかった……」
目を覚ましたら、元気に歩くカインが側にいました。
イエロースライムにやられた男の子も、モンスターの爪に切り裂かれた魔法科の女の子も、傷跡も無くきれいに治癒したそうな…… よかった。
「気がついたのね? 貴女、ヒールを暴走させて、エクストラヒールを発動したのよ。チェックポイントにいた負傷者全員、治療して魔力切れになって倒れたのよ。今日は一日ベッドで安静にしてね。」
と、ロベリア先生。
「それからエリカ、治療の前に、まず、何のモンスターに噛まれたか確認すること! 慌てないこと!」と、すごく怒られました。
カインを噛んだモンスターは、ナーガという毒蛇で噛まれると血が止まらないそうだ。
解毒してからヒールをかけないと、血が止まらないそうな。おうふ……
「それから、これはお見舞いね。」と、ロベリア先生から、モンスター別治療大全という本を渡されました。
「来週までに、レポートね。」だそうです。おう……。ロベリア先生やっぱりSだ!
ロベリア先生が帰った後、アルベルト様がお見舞いに来て下さった。
相変わらず、かっこいい。
うわ、ベッドの上で礼ってどうやったらいいの?
あわあわしてたら、
「病人が気を遣わなくて良い。お前のおかげでうちの班は死者を出さずに済んだ。感謝する。」
「よく、がんばったな。」と、頭をぽふぽふされた。
いやん、イケメンに頭ぽふぽふっすよ。顔が真っ赤になった。
がんばったなって認めてもらえて、すごく嬉しい。
「俺も、強くなる」と爽やかに笑ってイケメンは去って行った。
お昼には、イザベラ様とレイアス先生がいらっしゃった。
クッキーとお花をの差し入れつき。さすがイザベラ様、女子力高い。
「クラスの代表としてきただけですからねっ! いきなり倒れたから、びっくりしたんですからねっ! もう、魔力のコントロールが甘いのですわっ! 元気になったら、特訓ですわよ! 」と、プンプンしてた。
相変わらずのツンツンで、嬉しかった。
レイアス先生は、「あの範囲で、エクストラヒールかけれるとは! この魔力量有れば、あの実験も…… 」と、つぶやいてらした。
なんだか、嫌な予感がするつぶやきだ。イモムシはイヤだ。
放課後、教頭先生がいらした。
気づかなかったが、チェックポイントにいらしたみたい。
教頭先生から、痛かった腰も治ったと感謝された。
それから、こそっと水虫も治ったと、嬉しそうに耳打ちされた。
いやいや、そんな報告は要らないから。




