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26 野戦病院1

蜘蛛の糸から、エンバー先輩を解放して、A班の後を追った。


A班は、木の根に躓いて、イザベラ様が転んだせいで、あまり遠くには行ってなかった。

「大丈夫ですか?」足を挫いたようだ。

「今、ヒールをかけます」

「ありがとう。エリカ」

今日のイザベラ様は、ツンデレをかぶる余裕がないのか、素直だ。ちょっと物足りない。


しばらく走って、チェックポイントについた。

アルベルト様とエンバー先輩が、先生に全員無事着いた旨を、報告した。

「男子で、戦える元気が残っている者は、現在、交戦中の班の援護に向かう。

女子と、白魔法が使える者は、ここで、救助の手伝いに入れ」


チェックポイントは、負傷者であふれていた。

ロベリア先生が、負傷者の救護に追われている。


「ロベリア先生、エリカです! 手伝います! 」

「じゃあ、重傷者は私に回して。魔力切れにならないよう、軽傷者で今すぐ治療しなくても良い者には、応急処置だけして、魔法を使わないでね。今すぐ魔法の処置が必要なものだけ、魔法で治療しなさい。

白魔法が使えない者は、応急処置を手伝って」


前世のトリアージですね。

トリアージとは、患者の重症度に基づいて、治療の優先度を決定して選別を行うこと。


イザベラ様が、「エリカ、何をすれば良いか指示をちょうだい」

「では、ロベリア先生がおっしゃった通り、負傷者を、重傷者、魔法が必要な軽傷者、応急処置だけで良い者に分けて下さい。

重傷者は、ロベリア先生へ、魔法が必要な軽傷者は私に、応急処置だけで良い者は、みなさんでお願いします」


「エリカ、魔法が必要な軽傷者の基準は? 」


「血が止まらない者、傷や打撲の範囲が大きい者、ひどい火傷、毒、酸を浴びた者です。消毒や傷薬で対応できる者は、みなさんでお願いします」


「応急処置の説明をします。モンスターによる傷は、どんなに小さなきずでも、水でよく洗い、消毒します。きずの回りも唾液がついているところはよく洗い流します。

できれば、水魔法が使える人を配置して下さい。

傷口を清潔なガーゼを当てて包帯をします。

モンスターなどによる咬創は化膿しやすく、病気に感染していることもあるので、全員後で、必ず医師の診療を受けるよう言って下さい」

「エリカ、火傷は?」


「急いで冷たい水を注いで痛みが取れるまで冷やします。

衣類を脱がさないで、そのまま衣類の上から冷水をかけてください。

水ぶくれはつぶさないで、消毒した布か洗濯した布で覆い、その上から冷やしてください」


最初に回された軽傷者は、騎士科の1年だった。

「イエロースライムにやられた」と、苦痛に顔をゆがめている。

イエロースライム、かわいい容姿なのに酸を吐く。

左の太ももが、大きくただれている。

酸に接触したところを、大量の水で洗い流す。その後、念のため重曹水で中和し、さらに充分に水洗する。

あとは、火傷と同じ処置をする。

範囲が広かったので、ヒールをかける。

「ごめんね、まだ痛いでしょう。本当は完治するまで、魔法をかけるんだけど、今日は負傷者が多いから、応急処置までです」

「いや、治療してくれてありがとう」


次は、モンスターの爪に切り裂かれた魔法科の女の子だ。

怖かったのだろう。ガタガタと震えている。

肩から、腕が大きく切り裂かれている。むごい。

現実なんだと思う。

袖を切って傷口がよく見えるようにする。水でよく洗い、消毒する。血が止まる程度にヒールをかける。

「……傷が、のこる…?」

「ごめんね、全員治療して、魔力が余ったら、傷が残らないように治療するね。

 魔力が余らなくても、学園に帰れば、傷が残らないように治療できるからね」

かくかくとうなづく。声を出す元気もないようだ。


あと、何人、治療しないといけないか分からないから、ヒールは必要最低限しか使えない。




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