22 白魔法を習います
今日は、一番習いたかった白魔法を習う日です。
回復系の白魔法が使えるのは、光の属性のある人だけだから、習う人も少なくて、1、2年の合同の授業で行われる。
場所は、ロベリア先生の教科担当の部屋。
暖かな民族模様の絨毯が敷かれた部屋で、座り心地の良さそうなソファと、丸いローテーブルが置かれている。
壁には、本棚と、薬草やハーブがつり下げられている。
白魔法の先生は、ロベリア先生。
白に近い金髪、紫の瞳、華奢な身体、優しげな妖精のような容姿。
生徒は2年が2人、1年が3人だ。
2年は、ライアン様と、ルイーゼ様、伯爵と子爵だそうだ。
無礼打ちにならないよう、失礼の無いよう頑張りたい。
あとで、イザベラ様にマナーについて、再確認しようと思う。
1年生は、虫の抜け殻をくれた委員長ヘンリー様と、カラフルな鳥の羽をくださったナタリア様、私。
ちなみに、委員長が公爵で、ナタリア様が男爵だ。
ナタリア様は、「貴族っていっても、庶民に毛が生えた男爵だから、あんまりかしこまらなくっていいわよう。」と、おっしゃってくれる。
委員長は、公爵だが、親しみやすい容姿の温和な青年だ。
けっして平凡だと言ってるわけではない。
「まず、1年生は、白魔法がどのくらい使えるか教えて。」と、ロベリア先生。
委員長と、ナタリア様は、癒やしの魔法で、切り傷くらいは治せると申告した。
私は、まったく使ったことがないと、申告した。
「じゃあ、ライアンとルイーゼとは、ヘンリーとナタリアについて、基礎を見てやってね。
エリカは、私の方にきてね。」
なんだかライアン様とルイーゼ様が、哀れむような目で私を見てたような気がする。
気のせいよね?
「白魔法が使える子は、演習で、救護として、各班に1人配属されるから、演習までに切り傷くらいは治せるようになりましょうね。さあ、エリカ、腕を出してね。」
制服の袖をまくって腕を出すと、ロベリア先生が、嬉しそうにカミソリを取り出した。
「えええ????」
「うふふ。大丈夫。ちょっとだけね?」
ニコニコと天使のような微笑みで、しゅーっと、腕を切りました。
「痛っ!」
このひと、Sだ!!!!
「自分の身体で試した方が、魔法で治るのも実感できるし、一石二鳥なのよ。うふふ。」
こわいよう。
「あら、かわいいつえを持ってるのね。さあ、呪文を唱えて、傷が治るイメージでね。」
やってみましたが、治りません。
「いきなりは、無理だったかしら? 先生が見本を見せるわね。ヒール!」
温かい光が傷を包んで、じんわりと痛みが引いていき、傷がふさがってゆく。
そのあと、スムーズに傷を治せるまで、切られては治し、切られては治し、しました……
ものすごーくメンタルの削られる授業だったと、言っておきましょう。
「次の授業は、1年生は、徹夜で来てね。」だそうです……