11 ちょろ魔法使いは行く
そんなこんなで毎日、魔法の習得に明け暮れるエリナです。
火が出るようになりましたよ。
水もジワッと出ます(笑)
どや顔で、指先に灯る火をカインに見せびらかしたら、ライターか!って言われました。
この世界でも、ライターあるんですよ。
水に至っては、汗か!って言われました。
まあ、ジワッとしか出ないしね。
中坊のたわ言なんか気にしません。
今はちょろ魔法使いでも、そのうち、カインに火の玉や水球をドッカンドッカン撃ち出して、ビビらせてやる予定です。
ビビるカインを想像して「ふふっ」と笑うと、カインに、
「変なこと考えただろう」と、頬をぴぃーと、引っ張られた。
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あれからイザベラ様は、毎日魔法を教えてくださる。
あんなちょろ魔法でも、「最初はそんなものよ。庶民にしては、筋が良いわよ」と、
ほめて下さる。
イザベラ様、ほめて伸ばすタイプだ。
ちっこいファイヤーボールが、ヒョロヒョロと飛ぶようになった。
カインに見せて自慢したら、「ホタルか!」と言われた。 ちっ
しかも、「危なくないように、燃えるものの無いところで、バケツを用意してやれ」と言われた。
花火やる子供か! お前はオカンか!
くやしいので、私から特大ファイヤーボールをぶつけられ、土下座して謝るカインを想像した。
すかさず、ほっぺを引っ張られた。
ヤツは、心を読む超能力が……
「ないから。顔見りゃ分かるって」
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イザベラ様が紹介して下さったおかげで、クラスの他の子も話しかけてくれるようになった。
今日は放課後、イザベラ様のお茶会に招待された。
イザベラ様から、直々にマナーの指導があった。
知ってまして? 奥さん?
お茶会って、紅茶飲むだけだと思ってたらいろいろ作法があるんですって!
ティーカップのハンドル(取っ手)は指を入れて持つのではなく、つまんで持つこと。
親指と人差し指で持ち手を掴み、残りの指はそっと人差し指に添えるんですって。
しかも、背筋を伸ばしてエレガントに。
右手でカップを持ったらお菓子は必ず左手
ティーカップは、両手で持ってはいけません。
カップを直接手で触れることが出来るのは、カップが熱くないということになり、私はぬるいお茶を飲んでいますよ。というアピールになってしまうのだと。
両手で持つということは、「ここのホストは私にぬるいお茶を出しました!」
と喧嘩売ってることになるんですって。怖いですねえ。
正式なアフタヌーンティーでは、よくある3段になったケーキスタンド。
どれからでもご自由に食べて良いですよ。ではなく、最初にサンドウィッチ、そしてスコーン、スィーツの順序でいただくんですって。
どれも、前世も今世も庶民には目からうろこでしたわ。ほほほ。
貴族パネーす。