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10 栄枯盛衰。


祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。 娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。

おごれる人も久しからず、平家物語なエリカです。


私の栄光の日々も、一日で終わった。

明智光秀より短かった……。


魔法ってね、知ってる? 素質が有っても、発動させないと意味が無いんだよ。


貴族の子女は学園に入る前に、ご家庭で教養として魔法も基礎は習得するそうで、

魔法を発動できないのは、私一人だった。


ショボい火も1滴の水もそよとの風も、出なかった。


「庶民って、こんなこともできないんですの?」

前の席の金髪ドリトル(金髪ドリルのギャル)のイザベラ様だ。


イザベラ様が、扇をひらひらさせながらあざ笑った。

ちょっとつり目の悪女顔の美人さんだ。

あるくアンティークドールだ。

お察しの通り、乙女ゲームの悪役令嬢だ。

確か1学年上の侯爵家の婚約者のはず。


教室中が、どっと笑う。


恥ずかしさと悔しさと、みっともなさで、顔が熱くなる。

くやしいけど、くやしいけど、おばさんそのくらいじゃ負けないぜ。

くやしいのをぐっとこらえて、にっこり笑う。


「そうなんです! 庶民にはできないんです。

 イザベラ様、教えてください。」


イザベラ様、笑顔にちょっとたじろく。

「もう、庶民はしょうがないわね。まず、魔力を全身に巡らせるのよ。

そして、手のひらから放出するイメージで、呪文を唱えなさい。」


イザベラ様は、手取り足取り優しく教えてくださった。

良い子だったよ、この子。


「イザベラ様って、お優しいんですね。」


「べ、べつに貴女のためじゃなくってよ。 下々を導くのは貴族の義務よ。

分からないことが有れば、わたくしにお聞きなさい。」

と、頬を染めて照れていらっしゃる。


イザベラ様、ツンデレだった。チョロかった。



**



イザベラ様が、放課後に、「紹介のないものは身分が下位のものから、上位の方に声をかけてはいけない。」と、そっと教えてくださった。

どおりで誰も返事してくれなかったわけだ。

貴族としては常識なんだって。

時代劇でも殿様が許すまで、口頭できなかったし頭を上げてもいけなかったっけ。


ひゃあ~、やらかしてたのは私だったよ orz……。


それからイザベル様に、「貴女、巨大ゴキブリと戦ったって、ほんとう?」と聞かれた。


どうやら、噂に背びれ尾びれがついてる模様……。



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