表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

海を歌う愉快な黒板

生ぬるい雲

作者: 海之本

曇った空は

晴れるわけでも

雨が降るでもなし

漂うこともせぬ雲が

ぐたりと淀んでいる


泣いているようだと

呟いたのは誰だったか


熱くも冷たくもない風が

生ぬるく吹いている


まるでこの私のようじゃないか


泣いてみせるでもなし

怒りにまかせるでもない

薄ら笑いが

のっぺりと

貼りついているのだ


開け放った窓から

吹き入るのは

乾きも湿りもない

なんと

気持ちの悪い生ぬるさか


流れることを知らぬ

どろりとした沼底のような雲

呑まれて

吞み込み

カラスさえ消してしまう


私もまた

人をけなすわけでも

受け入れるでもない


どちらが好いのか

どちらが正しいのか


分からぬから

黙っているのではない

答えは至極明快に

内なる情は告げるのだ

淡々と

色もなく

あまりに鋭く放たれるものだから

熱風が

腹の底から喉元へと吹きあがり

頭の髄まで焼き焦がす


そうだというのに


私の口から放たれる時

それはただの呼気になる

なんと

情けのない生ぬるさか


色の無い雲は

漂うでも

落ちてくるわけでもない


雨が降るでも

晴れるわけでもない


熱くも冷たくもない

まるでお前は

飛ぶことを諦めた

あのカラスのようじゃないか

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 自分の頭をなでてあげよう。ハグしてあげよう
2019/10/23 04:58 退会済み
管理
[一言] この作品の「私」はどちらにもなれないのが辛いのだろうけれど、でも熱くもなく冷たくもない生ぬるい気持ちだからこそ、カラスのように飛べなくなる人はいなくて平和なんだと思います。 口から出るものが…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ