生ぬるい雲
曇った空は
晴れるわけでも
雨が降るでもなし
漂うこともせぬ雲が
ぐたりと淀んでいる
泣いているようだと
呟いたのは誰だったか
熱くも冷たくもない風が
生ぬるく吹いている
まるでこの私のようじゃないか
泣いてみせるでもなし
怒りにまかせるでもない
薄ら笑いが
のっぺりと
貼りついているのだ
開け放った窓から
吹き入るのは
乾きも湿りもない
なんと
気持ちの悪い生ぬるさか
流れることを知らぬ
どろりとした沼底のような雲
呑まれて
吞み込み
カラスさえ消してしまう
私もまた
人をけなすわけでも
受け入れるでもない
どちらが好いのか
どちらが正しいのか
分からぬから
黙っているのではない
答えは至極明快に
内なる情は告げるのだ
淡々と
色もなく
あまりに鋭く放たれるものだから
熱風が
腹の底から喉元へと吹きあがり
頭の髄まで焼き焦がす
そうだというのに
私の口から放たれる時
それはただの呼気になる
なんと
情けのない生ぬるさか
色の無い雲は
漂うでも
落ちてくるわけでもない
雨が降るでも
晴れるわけでもない
熱くも冷たくもない
まるでお前は
飛ぶことを諦めた
あのカラスのようじゃないか