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攻略対象の彼と悪役令嬢な彼女は結託する

掲載日:2016/03/12

「攻略対象の彼と悪役令嬢な彼女は仲が良い」の日常のお話です。

短めですので、ご了承ください。

また、ケインの素の口調で、前作は「お前」としていたのを「あんた」に変えております。

「空は青く、太陽はさんさんでぽかぽか、こんな日はお茶に限りますなあ、ケイチーさんや」

「そうだねえ、マリュンさんや」

学園の中庭に、豪華な白く丸いテーブルとイスを設置し、そこでちょっとしたお茶会をしているケインとマリアンナは、非常に穏やかな時間を過ごしていた。

この昼休みという時間帯、いつもなら中庭には誰かしらいるが、ケインとマリアンナという婚約者組に気を使ったのか、今は誰もいない。おかげでケインもマリアンナも、素で会話をしている。

マリアンナの好みだという紅茶を取り寄せたので、それを堪能しつつ、ケインとマリアンナは談笑していた。

「それにしても、ヒロインちゃん可愛いよなあ」

「あんたいきなりどうした」

「だってさー、近くにいるとすっげえいい匂いすんだぜー」

「こ、この変態...!というかアリスはあんたの破滅の原因でもあると思うんだけど」

「分かってねえなあ、ケイチー。確かにヒロインちゃんは俺の天敵みたいなもんだが、それでもヒロインちゃんが可愛いということは事実なんだぜ?まあ今まで見てきた女の中で一番可愛いのは俺だけど」

「その発言だけ見たら完璧ナルシストだよねぇ」

などとぽんぽんとやり取りをしていたが、不意にケインは口調と話題を変えた。

「そういえば、君の姉君の誕生日が近いそうだな。私も君の婚約者として、伺いたいのだが」

「えっ...え、ええ、そうですわね。それはお姉様も喜びますわ。是非、いらして下さいな」

マリアンナがそう言い終わった瞬間に、「あわわわわわ!」という叫びを上げながら、先程話題になった、主人公であるヒロイン―――アリスが、渡り廊下から中庭に突っ込んで来た。

見ると、アリスは「偶然にも」渡り廊下で足をもつらせ、体勢を崩し、その反動で中庭に侵入したらしい。

アリスはそのまま少し進み、やがて転んだ。中庭は芝生なので怪我はないだろう。

無表情のケイン、唖然としたマリアンナの視線に気付き、アリスは顔を赤らめた後、青ざめた。

婚約者同士の時間を邪魔してしまったと思ったのだろう。

それを見たケインはふう、と息を吐くと、立ち上がり、転んだ状態でこちらを見ているアリスの元へ向かった。

マリアンナはケインに物言いたげな顔をしたが、結局何も言うことはなかった。

「あ、あの、ごめんなさいっ。私、お邪魔するつもりは...!」

涙目で弁解するアリスを、ケインは無言で見つめた。

そして、手を差し伸べた。

「...えっ?」

「大丈夫か?君はよく転んでいるな。入学式の時もそうだった...。全く、目が離せなくなるじゃないか」

ケインは、乙女が見たら必ず歓声を上げるであろう程の微笑を浮かべた。

効果は抜群だ!

アリスは真っ赤になりつつ、遠慮がちにケインの手を取って立ち上がった。

「ありがとうございます、ケインさん...!」

「ケイチー?何をしているの?」

しかしアリスの幸せな時間はそう長くは続かない。

マリアンナはにっこりしながら、ケインと、再び青ざめたアリスににじり寄っていった。

「あら?良かったですわね、私の婚約者が優しい人で。もしここにいるのが別の方ならば、貴女、大変だったわよ?(今度こそ悪役令嬢の本領発揮だぜえ!)」

「そっ...そうですよね!本当に、すいません...!」

「そう言うな、マリュン。仕方がないだろう?」

ケインの言葉にぱっと顔を明るくさせたアリスだったのだが、

「彼女は社交辞令にも気付かないような田舎者なのだから」

息を飲み、目を見開いた。

「し...失礼、しました...」

震え声で言うと、一礼して背を向け、歩き始めたが、だんだんとスピードを上げ、走り去って行った。

アリスの姿が完全に見えなくなると、ケインは膝をついた。

「ごめん...性格悪くてごめん...でも楽しんでる自分がいるよ...」

「落ち着けよケイチー...ゲームだと俺はこんなの比にならないくらいの嫌がらせするんだろ?ヒロインちゃんのメンタル増強のためにも、頑張って嫌味言おうぜ...」

「...あれ?そんな目的だったっけ?」

「いや、どうだろ。まあ、何でもいいわ」

マリアンナは、悪役という文字がぴったりの笑いを浮かべた。

「楽しけりゃ何でもいいぜ!」

「こ、こいつ...!何て非道なっ...!」

「な、何だよ!いいじゃんか別に!せっかくの第二の人生だぞ!強くてニューゲーム状態だぞ!楽しまなきゃ損だろうが!」

「...それもそうだね。うん、じゃあこれからもアリスに度が過ぎないくらいに嫌味言おっか」

あっさりケインは言うと、マリアンナと共に、「おーっほっほっほっ!」「ぐっはっはっはっはあ!」という絶対に悪役な声色の高笑いをした。


「ご存知ですか、マリアンナ様。この間中庭で不気味な笑い声がしたそうですわよ。もしかして学園に侵入した不審者かもしれないと、騒ぎになっているのです。不気味な笑い声なんて、私達貴族が上げる筈ありませんものね」

「まあ、怖い。早く正体が分かるといいですわね(ごめん、それ俺達だわ...)」




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― 新着の感想 ―
[良い点] 続編ありがとうございます! この2人大好きです! [一言] おや、ケインの様子が…?! 前作ではあまーーーいセリフの王子系を装っていたので、まさかのドSキャラへシフト?!と笑ってしまい…
[良い点] 二重音声のセリフが堪らんとです。 いいぞもっとやれ。
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