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私は王女だった。
昔々、遠い国の出来事。
その国は北には大きな雪山があり、南には暖かい大きな海が広がり、西には灼熱の砂漠があり、東には豊かな森が広がっていました。
人々は、お城の近くで豊かに過ごし、日々笑合い、喜び合い、時には慰め合って、幸せにくらしていました。
豪華絢爛なお城には、賢く勇ましく誠実で頼れる王様と聡明で美しく妖艶で慈愛に満ちたお妃様。
そして王様とお妃様の間には、一人娘の王女様がいました。
美しいブルネットの髪の毛に美しい黒い瞳に、雪のように白い肌。
誰もが口づけしたくなる紅い唇。
誰もが見るだけで幸せになれるような美しさを持つ王女様でした。
しかし、王女様は誰にも愛されていませんでした。
王女様はお城の召使いにも、街の魚屋さんにも、庭師にも、国民にも、自分の両親である王様とお妃様にも、この国の人、全員に憎まれていました。
なぜなら、王女様は、嘘つきで意地悪く、ずる賢く、卑怯で、高飛車で、他人を欺き、陥れ、人を不幸にする王女様だったからです。
初めは、持ち前の美貌と、優しさを浮かべた笑顔で、色んな人と友達になりました。
明るく、心優しくて大勢の友達がいる大臣の娘。
聡明で、思慮深く、他人を思いやる美しい心を持った神官の娘。
国一番の美しいブロンドを持ち、太陽のような笑顔で街で一番モテる、商人の娘。
貧しいが、勤勉で、進んで人助けをしている神に仕える街の教会のシスター。
皆が皆、初めは王女様を愛し、受け入れ、とても良い友人としていつも一緒にいました。
しかし、それも長くは続きませんでした。
王女様は、友人達は自分が持っていないものを持っていると妬み、友人達を傷つけ始めたのです。
まず、王女は、明るく、心優しくて大勢の友達がいる大臣の娘を妬みました。
大臣の娘は、王女様よりも多く友達がいて、愛されていたからです。
王女様は、大臣の娘に嫌がらせをしました。
婚約者がいる大臣の娘が、隣の国の若者と浮気をしていると嘘をつき、大臣と婚約者を怒らせ、大臣の娘の結婚を破断に追いやりました。
大臣の娘は酷く傷つき、部屋にこもりっきりになりました。
次に、王女は、聡明で、思慮深く、他人を思いやる美しい心を持った神官の娘を妬みました。
神官の娘は、大臣の娘の話を聞き、大臣の娘を気遣い、王女様に嘘をついてはいけないと諭したからです。
王女様は、神官の娘に嫌がらせをしました。
王様とお妃様に、神官の娘の父親である、神官が、悪い神様を信じ、国を悪い方向に進ませようとしていると嘘をついたのです。
王様とお妃様は、王女様の言葉を信じ、神官一家を遠い国に追放しました。
次に、王女様は国一番の美しいブロンドを持ち、太陽のような笑顔で街で一番モテる、商人の娘を妬みました。
王女様は自分が持たない美しいブロンドの髪を持ち、自分よりもモテる商人の娘がいなくなれば、自分が国で一番男性に愛されると思いました。
王女様は、商人の娘を言葉巧みに東の森に誘い出し、森の深い所に置き去りにしました。
商人の娘は、深く暗い迷路のような森を何日も彷徨い続け、美しかったブロンドの髪はすっかり色褪せ、太陽なような笑顔も見せなくなってしまいました。
最後に、王女様は貧しいが、勤勉で、進んで人助けをしている神に仕える街の教会のシスターを妬みました。
シスターは、王女様よりも勉強が出来ることで有名だったからです。
王女様はそれを妬み、国中にシスターの根も葉もない悪口を言い触らしました。
シスターは、王女様のせいで、国民から酷い中傷を受け、教会を追われることになりました。
それ以外にも、王女様はさまざまな人を陥れました。
気に入らないお城の使用人や、自分に振り向かない街の色男、自分が道を通るときに生臭い臭いがするといって、お魚屋さんも潰しました。
他にも、王女様は自分の気に入らない人達を、ありとあらゆる方法で陥れました。
王女様は思いました。
邪魔な人達はみんないなくなった、これで私は国で一番だ。
国の人達、みんなが私を愛し、崇め、尊敬し、私が一番頭のいい王女になったのだと…。
しかし、それを許さない者がいました。
最後に陥れられた、神に仕えるシスターです。
シスターは王女様に友達を傷つけられ、自分も教会を追われ、王女様の悪事を正さなければならないと思いました。
シスターは、王様とお妃様に会い、王女様がいかに嘘つきで意地悪く、ずる賢く、卑怯で、高飛車で、他人を欺き、陥れ、人を不幸にする人間かを話しました。
王様とお妃様は驚きました。
あんなに愛くるしい王女が、自分たちの娘が、そんなに酷い娘のはずがないと憤りました。
しかし、シスターはそんな王様とお妃様たちの前に、証人を連れてきました。
昔、王女様に陥れられた、大臣の娘、神官の娘、商人の娘…。
昔の王女様の友達だった人達でした。
王女様の昔友達たちは、王様とお妃様に自分たちがされたことを打ち明けました。
王様とお妃様は、彼女たちの話に激しく動揺し、憤り、自分たちの娘の愚かさを知りました。
王様はそんな酷い王女様に対して激しく怒り、王妃様は深く悲しみ、二人はそんな王女は国にいてはいけないと思い、王女様を追放することにしました。
嘘つきで意地悪く、ずる賢く、卑怯で、高飛車で、他人を欺き、陥れ、人を不幸にする王女様は、国のはずれにある高い高い塔に独りぼっちで閉じ込められることになりました。