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【シリーズ】 13代目の破壊神

人の存在理由

作者: 千路文也

 自分の存在理由とは何か。それを疑問に感じた者は大勢いる事だろう。そこで私は相手の存在理由を明確に教えるために、一つの方法を思いついた。


 それは相手を罵倒する事だ。


 無論、ただ罵倒するだけでは芸が無い。相手の境遇、行動、性格、その他全てを観察し吸収する。こうした事で相手の悪いことをアイロニー形式で訴えかける。


 するとどうだ。


 私の事を毛嫌いした目でこちらを見てくる。勿論、相手を罵倒することが出来るという事はその反対も容易い。だが、あえてそれはしない。


 なぜならば、罵倒された理由を考える事はあっても、褒められた理由を考える事が無いからだ。


 何故自分は嫌味を言われたのか、何が原因なのか。悪口を言われただけで人は物事を追及するようになると私自信も知った。だからこそ私は敢えて人を罵倒している。


 自分の存在理由を気づくには、人から悪口を言われなけばならない。そうでもしないと存在理由を考える切っ掛けを失ってしまう。


 そういった意味では社会は実に良く出来ている。どこの会社にも必ず嫌味な同僚、上司、後輩は存在し、己自身にアイロニーを働きかけてくる。それが理由で人は初めて自己の存在理由を考え始める。


 そんな私も自分の存在理由は何なのか、疑問に感じ始めている。最近、この私に罵声の声を投げかける人間が現れたのだ。私自身相手を罵声した事はあるが、罵声された事はない。だからこそ、貴重な体験が出来た。


 私は教師だが、彼は生徒だ。本来教師に向かって悪口を言うのは御法度で場合によっては退学も有り得る。だが、私はそんな事はしない。


 悪口によって確立されるアイデンティティもあるのだと、私は知っているからだ。


 これらが理由で私は敵対視される事が非常に多くなった。やはり人の事を悪くいうのだから嫌われるに決まっている。


 そして私は自分の存在理由を知った。根っからの悪者なのだと。



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