第13話「檻」
「38度2分。うーん、けっこうな風邪だね」
体温計は平熱とは言い難い数値を示し、それを彩貴が告げる。この数値はカレンの体温だ。
一晩が明け朝になると爽やかな目覚めなどはなく、全身を気怠さが襲っていた。頭はガンガンと痛みが響き、のどは咳が続いて腫れている。まったくまともに動ける気配がない。
「あれだけ湯冷めに気を付けてって言ったのに」
心配そうに彩貴はいうが、深く言及はされないだけで表情を見れば心底呆れられているのがわかる。なさけなく思わず目を反らしてしまった。
無言で薬を渡してくる。静かに寝ていろということだ。
風邪をひいた理由などあげればいくらでもある。体育で疲れたあとに汗が引かない状態で授業を受けていたこと、お風呂に入ったあとに布団もかぶらずアサルトエリアにふけっていたこと。その結果疲れているのにも関わらず夜寝るのが遅くなってしまったこと……。あと、おそらくカレン自体の身体もそんなに強くないのだろう。久々に学校に通ったこと自体にもストレスになっているのだと思う。
「お姉ちゃんの身体あまり強くないんだから無理はしないでよ。昨日の体育だってそう。あんなに動いて……」
「そういえば、身体も痛い……」
「そりゃそうだよ。今まで引きこもり生活だったんだから。今日はおとなしく寝ててよね。お昼ごはんはお弁当、ここに置いておくから食べてね。飲み物も水筒にお茶いれたの置いとくよ。本当におとなしくしててよね、学校終わったらすぐ帰ってくるから」
「うん」
「……もう一度言うけど、おとなしくしててね。部屋を出るのもトイレに行くときだけにしなよ」
「ん? う、うん」
「じゃあ、行ってきます」
「いってらっしゃい。ゴホッ……」
彩貴は何度もこちらを覗きながら出ていき、心配しながらも学校に向かっていった。
そうなると今この家には僕一人だ。よくよく考えるればまったくの他人に留守番を任せてることになっている。これは危なっかしいったらありゃしない。もし僕が悪い人だったら、そこら中を物色して回るだろう。いや、もちろんこんな状態でなにもできるわけないしするつもりもないが――。
風邪を引いたなんて何年ぶりだろう。いや風邪自体には何度かなっていたかもしれないけれど、それでも無理をして会社にいってたし、会社をやめてからはほとんど家にいたから――こういう仕方なく休み、みたいなのはすごく久しぶりだ。
それにしてもカレンの代わりに学校に行くってのならわかるけれど、カレンの代わりに休むってなんなんだろう。もう自分がなんのためにここにいるのかわからなくなってきた。
自分がもとの身体に戻ろうとする理由はなんだろう。カレンが戻る気がないなら、僕もこの身体で二度目の人生を歩んでもいいんじゃないだろうか。だって、カレンが戻りたいならすぐにでも返事をくれるだろう? それがないってことはそうゆうことなんだ。
今はご飯は妹の彩貴が作ってくれるし、自分を好いてくれる友人もいる。それにこの身体自身もすごくかわいいし、容姿の偏差値は以前より高いのは間違いない。なにもなかった自分を埋めるためのアサルトエリアに固執する必要はもうないんだ。
「ごほっ」
――体調が悪いと余計なことを考える。自分の取柄はマジメなことだろう。まだ、カレンの意思もはっきりわかったわけではないのに決めつけてはだめだ。せめて、会って話をするまで。それからだ。それが正しい行いだろう。自分の身体は捨ててしまっても、自分を捨ててはだめだ。
くだらない考えはやめておとなしく休んでいよう。
しかしこの部屋でつぶせる暇なんて、アサルトエリアか……教科書くらいしかない。漫画はリビングか、たぶん彩貴の部屋にあるだろうからわざわざ取りに行くのもだるい。この部屋の本棚にある本は正直頭が痛くなるようなものばかりだからこれもNG。
仕方なく教科書をふと眺めてみる。もうかなり前にやったこととはいえほとんどの内容がすっと頭に入る。今さら予習復習するような内容ではないし、たぶん授業をちゃんと聞いていればテストも余裕だろう。
することがない。寝ようかと思うも、起きたのはついさっきだから全然眠たくない。
仕方ない、トイレを言い訳にして一度だけ部屋を出よう。階段が少し怖いけどリビングにいって漫画を何冊か拝借することにしよう。
ベッドを降りようと身体を起こすと、それだけで頭に痛みが響く。なるべくゆっくり動くことを心がける。慎重に足を運びなんとか部屋の外に出られた。
家の敷地が狭いため、階段は少し急めの螺旋になっている。しっかりと手すりを掴みながら歩かないと滑り落ちてしまうかもしれない。ここは要注意ポイントだ。実際頭が痛くなくても危ない。
一苦労して一階にたどり着く。トイレは一階にしかないのでどちらにしても何度かはこの試練に耐えないといけない。いい練習になったと言えるだろう。
とりあえずトイレを済ませる。正直女の子の身体でのトイレもだいぶ慣れた。罪悪感もだいぶ薄れてきた。あとはリビングの漫画を回収して終了。自室に戻ろう。
なんとか階段まで上がったところで気が付く。家の二階には部屋が三つあるのだが、扉の前に名前のプレートがかけられているのは彩貴の部屋だけだ。今一度カレンの部屋の扉を見てみてもなにもついていない。
ただ、残りの一部屋には扉に押しピンだけ残っている。つまりプレートを下げた誰かの部屋だったのだ。考えられるのは父親だろうか。母親の話は聞いたことがないのでおそらくもう亡くなったのだろう、だからたぶんない。
しかし、なぜ姉妹の部屋でプレートをつけないのか。普通娘二人の部屋の区別のためにつけるような気がするが、父親の部屋に以前はプレートをかけていたのか? そもそも今は単身赴任だとしても外す必要があるのか。
押しピンだけが付いた扉の部屋に近づいてみる。ドアノブをつかみ扉を開け――られない。どうやら鍵がかかっているみたいだ。まあ、長く家を離れるのだからそれも仕方ないか。彩貴の部屋は――やめておこう。さすがに女の子の部屋を無断で覗くわけにはいかない。そういいつつ無断で女の子の部屋を自分は使ってしまっているが。
仕方なく部屋に戻る。結構歩いたので疲れてしまった。漫画を読もうと思ってはいたが、これならひと眠りできそうな気がする。水筒のお茶を飲んでから目を瞑っていよう。
自然と目を覚ます。身体は少し楽になっていたがまだ熱はあるようだ。時間午後1時。彩貴が帰ってくるのは午後4時以降だろう。とりあえずはお腹がすいたので弁当を食べることにする。
机においていてくれた包みを開ける。今日学校で食べるはずだったメニューは肉野菜炒めにブロッコリーとミニトマト、タコさんウインナー、それに卵焼き。ごはんにはゴマがかかっていた。彩貴に感謝し、一口一口味わって食べていく。卵焼きは味付けが甘めになっていがバランスがよくおいしかった。体調が悪い割には全部平らげることができた。そして最後には一応風邪薬も飲んでおく。プラシーボ効果が一番効くのだ。
それからは漫画を読んで暇をつぶした。でも自分は読むのが早いため、すぐに持ってきた分は消化してしまった。また、一階に取りに行くのもだるい。かといって眠くもない。
「せっかくだからちょっとアサルトエリア見てみるか」
別に彩貴が帰ってくるまでの間だから大丈夫だろう。それにいつもは彩貴がいるからなんだかんだで彼女の目が気になる。今ならまったく気にしなくていい、貴重な時間ともいえる。体調は大分よくなってきたから大丈夫だろう。別に身体を動かすわけじゃないし、布団もかけておけばぶり返すこともないはず。
ちなみにアサルトエリアの説明書にある注意書きには風邪を引かないように気温を管理してプレイするようにと書いてあったりする。ただ、布団を羽織るのは本当は非推奨だ。白熱して汗をかくと戻った時にびちょびちょになってたりするからだ。まあ、今は風邪だからいいだろう。
――ログイン。
当面の目標はSATOを探すことだ。前回に行った地点にリスポーンする。この時間帯にいる可能性は低いかもしれないが、ほかのプレイヤーを見つけて情報を聞けばわかることもある。早速探索を開始しようとするが――。
「お、アリアさん!」
声をかけられる。振り向くとそこには見知った顔がいた。彼女はアサルトエリア内における数少ない知り合い。
「サファイアか」
「お久しぶりです! 最近お目にかからなかったので心配してましたよ!」
「いや、まあ。健全な一日を過ごしてたからね……」
「ん?」
彼女はサファイア。自分がアサルトエリアを始めたころに入っていたギルドの仲間だ。名前の通り青いチャイナ服を装備している。首元や肩口、スリット部分はフリルが付いていて、かなりファンシーな感じの装飾。
ランクはXEの結構な上位のプレイヤー。そのため、高ランクのモンスターに挑んでいる時にはちょくちょく見かけることも多い。
アサルトエリアのプレイヤー間はお互いに素性を話さないという暗黙の了解がある。単なる話、白けてしまうからだ。実際サファイアはあらゆる時間で出没する、つまりは――と邪推してしまうからだ。
「それにしても、小さくなられました? なんか二回りくらい変わったような気がしますけれど」
「いや、まあ。いろいろあってね」
「ほう、そうでしたか。ところで、せっかくお会いできたのですから、久々に紅竜行きませんか! 今欲しい装備があるんですけれど、ドラゴンソウルが一つ足りないもので……しかし、まわりに適正ランクの方もなかなかいらっしゃらなかったので探していたのですよ! 移動もすぐですし!」
「紅竜か。確かに近いけど、装備があれだから……」
「おや? 確かにいつもと違いますね。すごくかわいいと思います! ただ、性能はそこそこですね……紅竜との相性もさほど良くなさそうですし」
紅竜とはスカーレットと呼ばれる高ランクの竜だ。名前の通り全身が炎のような赤色で染まっており、炎魔法を操る。スリムな二足の足で走りまわることができ、翼も生えているため飛ぶこともできるかなり手ごわい敵だ。大きさは高さ4mといったところ。物理攻撃も強力で非の打ち所がない。戦うにはそれなりの準備と休息が必要だが、今はそれよりもすることがある。
「今日は狩りに出てるわけじゃないんだ。人探しをしてて」
「人? あ、ひょっとして白騎士さんですか」
思ったよりもすぐに答えを言い当てられて驚く。とぼけているように見えて意外と鋭いところがあるのだ。まあ、厳密にいえば探しているのは白騎士ではないが。
「なんでそう思う?」
「私はアリアさんのことならなんだもわかるんです! ……なんて、嘘ですよ。順位上げたい上げたいって前から言ってたじゃないですか。どうやらまだ3位のままみたいですし」
「うぐ……」
思い返せばあの戦いの結果はうやむやになってしまったのか。今まで確認してなかったが順位が前のままみたいだ。つまり無効試合になったということだ。実をいうと自分の上に2位のやつがいるが、そいつに勝っても2位どまりだ。だからあのときは直接1位の白騎士に挑んでいた。
そういえば、サファイアもログイン率は結構高いし、見かけたら教えてくれるかもしれないし話しておいて損はないか。
「ちょっと話すことがあってね。ただ、見つからないから今は手がかりを知ってそうな白騎士の――ファン? を探してる。SATOっていうらしいんだけど」
「SATO! 聞いたことあります!」
元気よく返事するサファイア。その自身っぷりからこれはかなり有益な情報が期待できるかもしれない。
「本当か! どこかで見かけたこととか――」
「さっきあっちでみました!」
「うぉおおおおおお!」
見たと聞いた瞬間、飛行魔法を惜しみもなく発動し、サファイアの指さす方向へ一直線に飛び出す。検索魔法のデティンも同時に使用し、検索範囲内に入るまで全力で移動する。こんな目の前に釣り糸がたらされたようなチャンスを絶対に逃すわけにはいかないだろう。
「ちょっと! 待ってくださいよー!」
そう叫びながらサファイアもなぜかついてくる。彼女も飛行魔法が使え、僕と同じくらいの速度で移動ができる数少ないプレイヤーだ。全速力なのにも関わらず気が付けばほぼ真横を飛んでいる。
しかし正直なところ、この件にはサファイアは関係がないのであまり来られても困る。とはいってもまったく振り切れる気がしないので適当にあしらって帰ってもらうことにする。
「ああ、ちょっとSATOって人には個人的に話がしたいから、ついて来てもらっても困るんだけどなあ」
「別にお話は聞きません! ただ、終わったら紅竜に付き合ってもらおうかと!」
「いや、結構長くなるかもしれないし……」
「白騎士さんの居場所を聞くだけですよね! それぐらいなら全然私待てますので!」
まったく引かないサファイア。次の言い訳を考えようとしていた矢先にはもうデティンが反応して、赤い軌跡を標す。軌跡の先は森の中にある小さく開けたところを指していた。近づいてみれば確かに一人アバターが立っていた。
だが、どんどん近づくとぴりぴりしたような感触が全身に伝わってくる。どうやら強力な魔法を使っているようだ――。
「アリアさん。あれ、たぶん強化検索ですよ。こんなの使ってる人初めてみました」
サファイアが言う。つまり魔力レベルを強化した検索魔法のことだ。基本検索魔法を極める人間は少なく、常用の範囲では遠くても100mから1kmぐらいまで強化する。多くの仕様用途としては参加しているクエスト内で人物検索をする程度だからその程度で十分なのだ。それにデティンはかなり制御の難しい魔法なので、使える人もそんなに多くはない。加えてそれの強化ともいえばなおさらだ。
しかし、このSATOとかいう人物は追っかけだ。常用レベルの検索では捕らえきれない白騎士を見つけるためにより広い範囲を検索できるよう強化しているのだ。おそらく魔力から推定して100kmレベル――。
「おい、ちょっといいか!」
魔力にかき消されないよう大声でSATOに伝える。意外と素直みたいで、こちらの声が届き次第すぐに魔法を取り消してくれた。僕らも地上に降り、SATOの元まで近寄る。どうやら女性アバターのようだ。白騎士みたいな仰々しいくはないが、銀色のきれいな西洋鎧を身に着けていた。それなりに肌を覆っていてかわいいというよりは戦闘向きの装備に見える。
西洋兜のバイザー部分を開き、こちらに顔を見せる。鼻筋の通った、大人びた顔だちをしていた。黄色く光る瞳が特徴的に見える。
僕の思う追っかけのイメージからはかけ離れた、どちらかというと清廉なイメージだ。少し躊躇してしまうが、目的のために話を始める。
「いきなり呼び止めてごめん。えっと、知ってるかもしれないけど僕はアリア。あなたは――SATOでいいのか」
「うん。SATO。ただ、甘いほう砂糖から取ったからサトウっていってほしかった。けど、みんなサトっていうからサトでもいい」
「サトウでいいのか――」
変わりものなのかもしれない。佐渡とか佐藤が本名なのかと思っていたが、斜め上だった。しかし、話は全然通じる相手だ。特に敵意も感じられない。
「サトウ、ちょっといいか」
「……」
少しうれしそうな顔をするサトウ。そんなにそっちで呼んでほしかったのか。
「デティンを使っていたということは――」
ビービービー!!ビービービー!!
話をさえぎるようにMMからアラームが鳴り響く。これはゲリラ任務のアラームだ。現在位置がモンスター出現位置の場合に鳴る。またその中でも種類があって、任意参加任務と強制参加任務があり、これは強制参加任務のアラームだ。
任意参加任務はその名の通りプレイヤー自身がモンスターの討伐を自由に選択できる。つまり当該エリアから離れることを許される。しかし、強制参加任務の場合は体力が尽きるか時間切れになるまで当該エリアから逃げることが許されない。エリアバリアが張られて出ることができなくなるのだ。
こんなむちゃくちゃともいえるルールの強制任務が存在することには理由がある。それはテストプレイだ。強制任務における討伐対象は進化モンスターと言われ学習することにより強くなった特殊なモンスターとなっている。これとさらに戦わせどんどんと強くすることが目的なのだ。そのため、強いランクのプレイヤーが密集していると遭遇しやすいとは聞いたことがある。
もちろん強制イベントのため報酬はそれなりに出る。しかし、難易度が高く装備が整えられていない状態での戦闘になることも多いのでかなり苦戦を強いられることが多い。
どうするかを考える暇もなく森の中にはドーム状のバリアが展開されていく――。
「アリアさん! ゲリラですよ! しかもエボ!」
サファイアが叫ぶ。エボとはエボリューション(進化)のことだ。多くの人がスラングとして進化モンスターのことをそう呼んでいる。
「まずいな、ここでエボと出会うなんて運が悪い。相手してる暇なんてないのに……」
「とりあえず、敵種を判別してから距離を取って装備を整えましょう。遭遇前ならヘイトも低いですし、そう追ってこないかと」
「よし、そうしよう。まずは千里眼で敵を捕捉して……ん? サトウがいない」
慌てている内にサトウはその場から離れていた。逃げたのではない。モンスターの位置を捕捉し一直線に飛び込んでいったのだ。気が付けば豆粒ほどに見える距離まで離れていた。
どうやら追っかけなだけかと思いきやとんだ戦闘狂だ。
「なんなんだあの追っかけ! まっさきに行っちゃったぞ!」
「勝つ気満々みたいですね。でも今エリアにいるのはおそらく私たち三人でしょう。向かっても一人じゃ危ないと思います」
「ああー! わかったよ! 僕たちも一緒に行けばいいんだろ!」
「あはは、仕方ないですねこれは」
飛行魔法をかけなおし、サファイアと一緒にサトウを追い始めた。
強制任務といえど本当はログアウトすれば、戦いを回避することは可能だ。しかし、もしここでログアウトしてサトウを見失えば次にいつ会えるかはわからない。そうなると白騎士への道も遠くなる。僕に選択肢はないのだ。この三人でモンスターを撃退し、サトウときちんと話す。それが僕の任務だ。
サトウのいる延長線上、大きな影が見えてくる。敵は空中に座していた。その姿は形容しがたい、異様なものだった。
「な、なんだあれは」
ギョロっと大きな二つの赤い瞳がこちらを向く。大きなクチバシ、極楽鳥のような派手な羽とトサカ。森のような緑の毛。脚部はなく尾先には大きなバラが咲いている。そして一番に目につくのが羽の生え際から伸びている左右合わせて八本の棘のついた触手。その姿はまさに化け物だ。
そして僕はこの化け物を今までにみたことがない。
「――新モンスターだ」
アサルトエリアはゲームだ。当然のごとく新しいコンテンツとして今までにいなかったモンスターを追加していくことは当然ある。しかし、そういった場合はいつも学習されていない設定モンスターと呼ばれるモンスターだけであって、戦闘は任意だった。
しかし、これは進化モンスターであり新モンスター。能力が未知数な上、行動を学習する。そして逃げることが許されない。
ギュエエエエエエエエエエエ!
けたたましい鳴き声が響く。それは威嚇のような羽ばたきとともに戦闘の始まりを告げていた。