1話:【森大地】編
『よっ大地!』
『…なんだヨシタカか』
『なんだって…。それにしても相変わらず暗いな〜お前』
彼は森大地(16)と友人の岩崎ヨシタカ(16)どちらも高一。
『おっ前見てみろよ』
ヨシタカがそう言ったので前を見ると女生徒が2人歩いていた。
『隣のクラスの伊藤ケイと野咲花だぜ。どっちも可愛いんだよな〜。伊藤ケイはクール系だな。野咲花は可愛い系だけどイロイロ問題ありだ…。』
聞いてもいないのに淡々と話を続けるヨシタカ。
『まぁお前に話しても無駄だな。』
じゃあ言うな。
『なんせ女が苦手なんだもんな』
ハハハハと笑いながら言った。
ゴツン!
…あっ電柱にぶつかってる。
『なっ!野咲花はアレだからな!』
また笑いながら言った。
『ふ〜ん』
〜学校〜
『オイ!大地!隣のクラス行こうぜ』
学校について早々にヨシタカが面倒なことを言った。
『…やだよ面倒くさい。意味ないし』
『馬鹿!なに言ってんだよ!お前さっき見ただろ』
『?』
『野咲花だよ!電柱に激突した』
『え?見たけど…』
ヨシタカがなにを言いたかったのかよくわからなかった。
『鈍感だなお前は!話すきっかけが出来ただろ!今がチャンスなんだよ』
『お前一人で行けばいいじゃん…』
『アホか!あっちは2人だぞ!それならこっちも2人で行くべきだろ!』
『…違う奴誘えよ』
『残念ながら俺の知り合いの中でキミが一番ルックスがいいんだ』
残念の意味がわからん。
『それで?』
『だからついてこい!』
答えになっていないが無理矢理引っ張られて、隣のB組に行った。〜B組前〜
『よ〜しついたぞ』
まぁ隣だから直ぐついた。
『見ろ大地よ!窓際にいるぞ!…ぬっ』
一人で騒いでいる。忙しい奴だ。
『大変です!隊長!』
『誰?』
『敵は4人います!残念ですが太刀打ちできません』
『………………。』
『う〜んあれは岡田香奈美と相葉夕夏だな。アレもなかなかなんだがな………アレッ?大地君オーイ』
一足先に教室へ帰ることにした。ヨシタカを置いて。
『お前な〜友を置いて行くなよー』
ヨシタカが帰ってきた。
『それにしても本当にお前女に興味ないんだな。あっ興味がないんじゃなくて苦手なんだな!ハハハハッ残念残念』
森大地は女性が大の苦手。顔は最高なのに今まで彼女はいたことがない。それどころか女友達もいないし、まともに女性と話すことができないのである。しかし、女生徒の中では人気ナンバーワンである。
〜放課後〜
『大地〜今日はつきあえよ』
今日は合コンがあると昨日からうるさいぐらい言っていた。
『って来るわけないよな〜』
『わかってるなら言うなよ。じゃあな』
学校でヨシタカと別れ、帰り道についた。
まだ学校前だがこの道は人通りが少ない。今現在この道を通っているのは俺と前を一人歩いている女生徒だけだ。あっ―
ガツン!
前を歩いていた女生徒が電柱に激突した。なんか朝見たような。ってか一日で電柱に激突する場面を二回も見るなんて貴重だな。
それにしてもどうしよう。なんか言った方がいいのかな?さすがに素通りは出来ないし…。俺は緊張しながら声をかけた。
『大丈夫ですか?』
こちらを振り向いた。この人が野咲花さんか…。ってかやっぱり話しかけるんじゃなかった…。早くこの場から立ち去りたい。
『あっ大丈夫です…。』
よしっもういいだろう早く行こう。
『じゃあこれで…。』
そう言って早々に立ち去った。