1話:【野咲花】編
『ぶ〜〜〜!!残念でした〜!答えは猫で〜す』
ケラケラ笑いながら喋っているのは、野咲 花(16)高校1年生。(※ちなみに問題は、追っても追っても逃げて行く物はな〜んだ)
『そんなのキミん家だけだよ』
呆れ顔の友人、伊藤 ケイ(16)同じく高校1年生。
『そんなことないよー!あたしこの前ノラ猫に近付いたら逃げられたよー!他にも近所の飼い猫にも逃げられたし〜』
『ごめん。さっきの訂正。それキミだけだよ』
『ヒドイ!でもあたしの愛はいつも一方通行!どんなに愛をおくっても受け取ってはくれない』
↑入り込んでいる。
『なにが愛よ。動物にしかおくったことないくせに』
『ウッ!い、いいじゃんベツに』
野咲花は今まで人間の♂に惚れたことがない。
『アンタ顔だけなら男から人気あるのに…』そう顔だけは可愛い。顔だけは。
『でも、言動に問題あり。服装も気を使うことなんてないし。化粧なんてしたことない。今時の女子高生が』
『いいじゃん!それにホラッ!スカートは短いヨ!今時の女子高生って感じジャン』
フフンと勝ち誇ったように言う。
『あぁ私がしてあげたやつね』
『ありがとうケイちゃん!』
バッと抱きつく花。
『ちょいちょい話がそれてる』
サッと離れるケイ。
『ふぎゃ!』
『一回ぐらい付き合ってみたらいいのに』
『めんどくさいし…。男なんて皆一緒に見えるし…。興味ないし』
『あ〜あ、アンタ天罰くらうね』
『えっ?なんで!?』
オロオロする花。
『ベツに……あっ』
ゴツン!
スゴい音で花が電柱に頭から激突した。
『あっちゃ〜ホントに天罰?』
空を見上げるケイ。
〜学校〜
『アハハハハ!それで電柱に激突したんだ!ウケる〜』
コレは友人の岡田。
『ホント天罰だねアハハハハ!』
同じく友人の相葉。
『痛かったんだから!』
『でもアンタ本当に好きな人いないの?』
問掛ける岡田。
『うん!あっ1人いるかな』
『ええっ』
『誰?誰?』
興味津々の岡田と相葉だが。
『正太郎』
『えー誰それ?』
『ってか好きな人いるじゃん!』
さらに盛り上がる岡田&相葉。
『…それアンタん家の猫じゃん。しかも1人じゃなくて1匹だし』
すかさずケイがつっこむ。
『…………………。』
落胆する岡田相葉。
『エヘヘ〜』
っという毎日をすごしてる野咲花と一同。説明通り、男に全く興味がない花だったが、朝電柱に頭を激突したせいかこの後、人生で初めて人間の♂を好きになってしまう。
〜放課後〜
『ケイちゃん帰ろ〜』
『私今日は部活あるから』
ケイは軽音楽部に入っていて、ギターを担当している。週2で部活があり今日はある日なのだ。
『チェッ。じゃあ岡ちゃんと相葉でいいから帰ろ』
『なによ、でいいからって!』
『しかも、じゃあって…!』
不服そうな岡田と相葉。
『それに私たちは合コンがありますので〜ホホホホ』
高らかに笑う岡田。
『じゃあ〜ね〜』
ヒラヒラと手を振り去っていく。
一人ぼっちになった花は渋々と帰ることにした。
『あ〜あつまんないなぁ〜』
トボトボ帰る花。
ガツン!
『フゴッ』
また電柱に激突し、さらに奇声を発した。
『イタタタ…』
『大丈夫ですか?』
一人の男性が心配そうに後ろから声をかけた。
『あっ大丈夫です…。』
振り替えったら。見たことのある制服。あっ、うちの高校の人じゃん。でも見たことないなぁ。誰だろ?まぁいいや。
『じゃあこれで…』
立ち去る男性。もちろん男に興味のない花なのでこんなマンガみたいな展開恋愛は始まらないのであった…。